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劣等感

野球部に入部して二週間が過ぎた頃、まともに授業受けるのがツラくなってきました。


だって!!


毎日、毎日、鬼トレ。


ほんともう、勘弁。愚痴を吐きたい!けど、私には何故か友達がゼロ。部員で仲良い人もゼロ!!つまり、ボッチだ。


まあ、元々がボッチだったからどーって事ないけど正直、愚痴くらいは聞いて欲しい。そうは思っても、今日も今日とて練習へ向かう。


「しゃーっす!!!」


そして、お決まりの合図と共に始まる部活。


ほんと、皆さん元気ですね。と、項垂れていたら「月宮、ストレッチやろうぜ」最近ストレッチを一緒にしている先輩が駆け寄ってくる。


彼は二年の横山光一(ヨコヤマコウイチ)、なにかと元気な先輩だ。


「いいですよ」

「よし、じゃあ、俺から頼む」


そう言って笑顔を向けてきたから「はいはい、じゃあ、いきますよー」強めにストレッチ開始。暑苦しいのは、嫌いだ。


「ぐぬぬぬぬ」


変な声が聞こえてくるけど私はお構い無しにストレッチを続ける。すると、そんな光景を見ていたキャプテンである三年の古谷春季(フルヤハルキ)先輩は「月宮ー、あんま無茶させんなよ」苦笑。そして、その隣に居た三年の星宮慶次(ホシミヤケイジ)先輩までもが爆笑していた。


と、ツラれて無口な二年の大島田(オオシマダ)てる先輩も「グッドラック」意味不明な発言をかましてくる。


みんなしてなんだってんだ。私は少々イラついたが、最後まで手を緩める事はしなかった。それから暫くして「よーし、皆、集まれ」山下監督の声が聞こえ、足を向ける。


「今日は言っていた練習試合をする。丹田(タンダ)高校の方はそろそろ此方に到着するはずだ」


監督の言葉で練習試合をする。そう言っていたのを思い出す。


ーーーすっかり忘れていたよ。


「今日は練習試合と言っても、己たちの器量をぶつける本番だと思え」


早々に暑苦しい言葉を放つ監督は「まだ一軍を決めてはいながいが、今日はこのメンバーでやっていこうと思う」そう言って選抜メンバーを読み上げ始めた。


【1番】ピッチャー、二年、相馬太陽(ソウマタイヨウ)


【2番】キャッチャー、二年、雨野真一(アマノシンイチ)


【3番】ファースト、二年、横山光一(ヨコヤマコウイチ)


【4番】セカンド、三年、戸高尚人(トダカナオヒト)


【5番】サード、三年、星宮慶次(ホシミヤケイジ)


【6番】ショート、三年、真野矢純一(マノヤジュンイチ)


【7番】レフト、三年、堂城洋(ドウジョウヨウ)


【8番】センター、二年、日和知忠(ヒヨリトモタダ)


【9番】ライト、三年、山元大輔(ヤマモトダイスケ)


「以上だ、他メンバーは選抜が何かあった時の為に必要最低限準備しておけ」


監督が強く放つと「しゃっ!!!」部員達は闘志を燃やす。と、そんな光景を見ていた私だったがふとある場面を目の当たりにする。それはマネージャーである一年の桃川祐希奈(モモカワユキナ)チャンがグラグラになりながら荷物を運んでいる場面。


つーか、転けそうじゃない?そう思ったら既に足が動いてて「危ないよ」ちゃっかり荷物を奪う。だって、こんなにも可愛いレディがケガをしたら大変だから。とゆう理由だ。基本的に私は女性に対して優しいーーーと思う。


「え?あ、月宮クン、ありがとね」


てへへ、なんて笑う笑顔に・・・キュン。癒しを貰った気分。


「それより、コレ、ココでいいの?」

「あ、うん!!本当にありがとう!!助かりました!!」


またしても・・・キュン。


ヤバい。女の子ってか生の女子高生は破壊力が凄まじい。若いって最強だ!


「ほんとに、ありがとうね、月宮クン」

「いいよ、レディには優しくがモットーだから」


ニコリと微笑めば「その顔、反則ー」真っ赤にして叫ぶ桃川チャン。鼻血が出そうです。


「それより、今日は練習試合だね!!頑張ろうね!!」


おーし!!なんて叫ぶ桃川チャンに「そーだね」テキトーに返せばニッコリと笑う。多分、私の本心はもっと黒い。ごめんね、桃川チャン。


キュンとした気持ちが消えかかり、私は無言でベンチに腰掛ける。それからどのくらいボーッとしてたのだろうか?グラウンドには丹田高校の部員達が続々と集まり始めていた。そして、両高の挨拶を済ませ試合が始まる。


とゆうか、生で試合を見るのは始めてだ。と、少しだけウキウキしながら試合を観戦。


しかし・・・


「うわ、三振だ」


正直、驚いた。


相馬先輩、かなりの豪速球でソッコーで三振。それに雨野先輩も捕手として凄くカッコいいし、的確に指示を飛ばしていて妥協を許さない感じ。でも、他のメンバーだって負けてない。


一回の表が終わり裏、此方の攻撃は凄まじかった。横山先輩はホームラン。真野矢先輩はレフト抜けるし、星宮先輩は強い当たりで塁を掛ける。次々と繰り出される技に、ほんの少しだけ劣等感。


それは己の心か、はたまた器量か。


たけど、試合を終えて感じたのは「私のナカにはないモノ」を「彼等は持っている」とゆう違い。


今の私には彼等みたくそこまでボールを追う事は出来ない。


慶応【8ー3】丹田、試合は終了した。

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