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雨野真一、とゆう男

夕方まではまだまだ時間がある。


椅子に腰かけ、暇潰しに携帯ゲームしようとしたのだが先ほどから騒音がうるさくてしょうがない。誰かの携帯だろうか?ラインの音がピコン、ピコン、と連続で鳴るもんだから正直、耳障りでイライラしてしまう。


と、辺りを見渡して倒れ込んでいた先輩の手元で点滅する緑ランプ。


ああーーー・・・お前のかよッ!!とゆうか、どんだけ鳴ってんの?それに、それでも起きない先輩ってある意味すごいと思う。


「音消せないのかな」


フツフツと沸き上がる苛立ちを抑えながら先輩の携帯を覗き込んでみた。


ピコン


【ゆみちゃん】

大丈夫(;´д`)?風邪だって?

雨野クン居ないとさびしー(*´;ェ;`*)


ピコン


【あきちゃん】

あーくん★大丈夫?看病しよーか?♪


ピコン


【恵ちゃん】

真一クン、大丈夫?風邪薬ある?

なにか飲み物いる?(*^3^)/~☆


ピコン


【ナナちゃん】

しーん、さびーしー(;´Д⊂)はやく良くなってね。

教室で待ってるよ(人´ з`*)♪


って、全部女じゃねーかよッ!!!!


おいおいムカつくなコイツ。どんだけモテてんだよ?生意気なヤツ。怒り倍増になった瞬間、至近距離に居た為、少し反応に遅れてしまう。だけど、先ほど閉じられていた瞳は間違いなく開いてて俺を直視していた。


「あ、すんません先輩、あまりにも携帯がうるさいから」

「見た?」

「え、見たって?」

「ライン、見た?」


やっぱり、そうなるよね。


「うん、見ちゃった」


テヘペロと可愛く反応してみても先輩の表情は変わらず、めんどくさそうに電源をオフりやがった。


え?


返事は?


「ちょ、雨野先輩、返事は?しないの?」

「なんで?」

「え?なんでって、みんな心配してるんじゃ?」

「俺は興味ないから、いいの」

「わお、モテる人の発言は違いますね」

「まーね」


その言葉に今、カチンきた。何様だよコイツ。


「うらやまー」


と、言って、自分のベッドに座り、先輩を睨む。ほんと、リア充爆発しろ。


「うらやましいか?」

「ん?なにがですか?」

「別に興味のねーヤツから連絡くるの」

「え、それは・・・」


興味のねーヤツ、その言葉に思い出す。


痛客や面倒な客の連絡を。どーでも良いヤツに限ってやたら連絡してきたりデートに誘ってきたり平日まで独占しようとする。


ーーー正直、本当にウザかった。


こちとら仕事で連絡してるだけであって、彼女ではない。なのに彼氏面するヤツも居た。思い返しただけでもどっと疲れる。


「だねー、ごめん先輩。俺が間違ってたよ」

「は?突然、なに?」

「いやいや、同情します」

「はあ?」

「いやー、モテるのも疲れますもんねー」


うんうん、そうだ。しかも体調の悪いときまで面倒なヤツの相手をするのは疲れるもんね。一人でうんうん唸ってたら「変なヤツ」と、先輩は少し照れ臭そうに笑う。


「けど、雨野先輩」

「ん?今度はなに?」

「彼女いないんすか?」

「いないよ、俺、興味ないから」

「え?女に?」

「ちげーよ、ガキに興味ねーの」


え?


ガキってーーー・・・先輩もガキですが?


「じゃあ、先輩は大人っぽい人がいいんですね」

「まぁ、付き合うなら、な」


なんか良く分からんけど先輩の好みを知ってしまった。これが恋バナーってヤツ?


「へぇ、年下とか合いそうなのに」

「無理だな、俺、頭の悪いヤツ嫌いだから」

「毒吐いたー、先輩えげつないっすね」

「うるせーな、好みの問題だ」

「まぁ、そうだけど、先輩に想いを寄せてる子、かわいそう」


する事ないから先輩の恋バナ聞いてるけどーーー・・・そろそろ飽きてきた。それに男同士で盛り上がる話でもないしね。


「つか、先輩、熱あんの?部活は?」

「熱は・・・ある、部活は行く」

「おいおい、野球バカ。そこは寝てましょーよ」

「誰がバカだ、誰がっ、ゴホッ、ゴホッ!!」

「ほらほら、寝ときなさい」


彼の布団をポンポンと叩いて自宅から持ってきていた冷えピタを先輩の額に貼る。と、先輩は「え?コレ、お前の?」不思議そうな顔をしていた。


「そーですよ、救急箱持ってきて良かった。早速、役に立ちましたよ」


ニコニコしながら先輩に返答すれば「救急箱って、普通持ってくるか?」なーんて言うもんだから「裁縫セットもありますよ、もしもの時に」ソレを見せ付ける。


「月宮、お前、女子かよ」

「アホか、寮になると一人でやらんといかんから必要最低限、持ってきただけだ」

「はは、すげー」


すげー。って、自分の事は自分でしなきゃいけないのに何を言っているのだろうか?


「ま、とりあえず安静に」


救急箱と裁縫セットをしまい、氷枕を手に取り食堂がある方へと足を進める。それから食堂で氷を分けてもらい水を入れて部屋に戻る。


「先輩、首上げて」

「ん?首?」

「そ、氷枕置くから首上げて」

「え?あ、おう」


と、素直に首を上げてくれた先輩。


「枕をどけて氷枕置きます」

「お、おう」

「よし、どうぞ、寝て下さい」

「お、おう」


つか「おう」しか言ってないし。なんかウケる。


「どーっすか?ひんやりしてイイっしょ?先輩?」


感想を聞こうと先輩を覗き込めば「オカンかよ」ツッコまれた。


誰がお前のオカンやねん!!

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