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同室の人

目的地に辿り着くと一人の男性が此方を手招きしていた。


「初めまして、キミが香クンかい?」

「っす」

「俺はキミの担任の柳瀬(ヤナセ)だ、宜しくな」


沢かやかな好青年ではないか。キャバ時代だったらアタックしている。


「ども、シクヨロ」


彼と握手を交わせば「お前、軽いなー」と、笑われる。


「そうですか?先生は爽やかですよね」

「ん?そうか?」

「うん、めっちゃタイプです」

「は?え?おま、え?」

「キョドりすぎ、可愛いですねー」


ほんと可愛いくて良いカモになりそう。


「お前な、先生をからかうな」

「はいはい、で?荷物どーすんの?」

「荷物は寮に置く、けど、お前見かけによらず口悪いな」


元々口が悪い為、どーしても偉そうに聞こえてしまうらしい。


「見かけにってどーゆー意味?」

「いや、チビのくせに・・・」

「あ?」

「いや、ごめん、なんでもない」


チビって、お前が俺より高いだけだろ。


「んで、寮は?」

「こっちだ、つーか、先輩に失礼のないようにな。仮にも強豪野球部の先輩だぞ?」

「あー、大丈夫、大丈夫」

「大丈夫ってなー」


苦笑する彼の後を追い男子寮へと向かう。ちなみに、男子寮は野球部専用の寮らしい。他にもバスケ部専用の寮とかバレー部専用の寮もあるらしい。力入ってますね部活に。


柳瀬(ヤナセ)先生、先生って独身?」

「はー?いきなりなんなの?」

「いやー、担任の事は知っておきたいじゃん?」


ニヤリと笑えば「独身だ」ゲンコツを喰らってしまった。


「ほら、ココが寮だ」


痛む頭を抑えながら寮に足を踏み入れる。


「ほー、デカイな」

「まぁな、で、お前の部屋は【103】だ。ちなみに三人部屋な」

「ココ?」

「ああ、はやく部屋に荷物置けよ」


そう言われドアノブを回す、が、開かない。


「先生、開かない」


ガチャガチャと音が鳴るだけで開く気配がない。


「あ、しまった!!カギを教室に忘れてきた!!」

「は?マジで?」

「ああ、預かったまま忘れてたわ」


すると先生は「ちょっとココで待ってろ」凄い速さでその場から居なくなる。って、え?ナニソレ?


「ちゃんとカギくらい持ってこいよ」


女を待たすなんてどうかしている。と、軽く舌打ちをすれば「ん?誰?」と言いながら此方に向かってくる人影。ゆったりとした足取りで此方に向かってきたのは同じ制服を着た男の子。しかし、その男子が近付くにつれその大きさに目を見開く。デカイな。


つか、今の高校生ってこんなデカイの?!


「で、キミは誰かな?俺たちの部屋の前でナニしてんのかな?」


ドンっ!!と、聞こえた時には彼の腕が伸びていて、私の頬を通過。俗にゆう壁ドンってヤツですか?でもこのシュチじゃあ萌えない。こんな瞳孔開いた人にキュンともしねーわ。


「え、あ、俺は今日から入寮するヤツです」

「ん?キミが?こんなチビが?」

「るせーな、身長は関係ねーだろ」


どいつもこいつも身長かよ。


「ふーん、一年生だっけ?」


未だ瞳孔開きっぱなしの彼は眉間にシワを寄せながら「名前は?」壁から手を離す。


月宮香(ツキミヤカオル)、一年」

「俺は二年の、雨野真一(アマノシンイチ)

「とりあえず、今日から宜しくです。同室なんだよな?」

「ああ、それと、俺は先輩な。敬語くらい使えよ」

「努力する」

「なんだよ、その言い方は」

「いや、敬語慣れてないから」

「どんな生活してきたんだよ」


本当の事を言えば呆れられる。勿論、仕事って分かったら敬語くらい使うけど学生に敬語つかうのもな・・・しかも年下だしな。なんだかな。


なんか複雑。


私の方がよっぽど人生の先輩だってーの。


「つか、ナニしてんのココで?荷物いれねーの?」

「あ、それは担任がカギ忘れて取り入ってる」

「は?マジで?どんくせーのな」


と、彼はポケットをあさりカギを取り出して扉を開ける。


「え?カギ持ってたの?」

「俺たちの部屋だからな」


ああ、なるほど。


「月宮、荷物入れろ」

「っす」


ココから私の高校生活が始まるんだ。なんか、緊張してきた。


「うわ、ひろっ」


部屋に入ってみると以外と広くて驚いた。もっと汚いイメージあったからな。


「お前のベッドはこれ、んで、机がこれな」

「どうも」


ベッドも三段ベッドではなく普通にシングルベッド。これは嬉しいけど・・・横に並んで寝るとか恥ずかしいわ。


「ふぅ、所で月宮、身体は大丈夫なのか?事故に遭ったんだって?」


椅子に腰掛けた先輩は「ケガとかないの?」キラキラとした眼差しで此方を見つめる。


絶対、楽しんでるなこの人。


「大丈夫ですよ、なんともないし」

「へぇー、事故に遭ったのにすげーな、月宮」

「みたいですね、ピンピンしてます」


フッ、と笑えば「サイボーグかよ」ってケラケラ笑い始める。先輩の【笑い】のツボが分からない。


「それより先輩は授業なんじゃ?」

「んー?今まで病院行ってたからな」

「え?どっか悪いんですか?」

「ただの風邪だよ、早く治さねーといけねーんだ。野球してーし」


と、言ってはにかむ。


野球バカかよ。


「あー、きつー」


千鳥足で歩き始めた先輩はベッドまで移動、そしてベッドに辿り着くと直ぐにその場に倒れ込んだ。相当キツそうだが私には関係のないこと。


彼に興味など持ち合わせていない私は荷物をまとめ、自分のテーブルに必要なモノを乗せていく。そして、洋服を閉まった所で「え、カギ開いてたの?」間抜けた面で登場した柳瀬(ヤナセ)先生。


プッ、その顔ウケるんですけど?


「はい、開けてもらった。つか、先生おせーのな」

「仕方ないだろ、これでも頑張って走った方で・・・」

「そ、で?次は何するの?」

「寮のしおりは読んだか?」

「うん、モチロン」

「じゃー、とりあえず今日はまだ教材も届いてないし、制服も来ていない。だから、明日の朝職員室に来なさい」

「え?今日から授業じゃないの?」

「明日からだ、バカ、病み上がりなんだからそんな無理はさせれんだろ」


優しく頭を撫でる先生に「あんがと」と、一応お礼を言う。


「じゃあ、俺は戻るけど、夕方になったらグラウンド行けよ。そこでお前の挨拶があるらしいからな」

「え?挨拶って?」

「野球部に入部するんだろ?だから、全部員の前で挨拶だよ」

「マジ?」


ナニソレ?めっちゃはずい。


「マジだ、挨拶が終わった後はちゃんとしろよ、部活」

「ほーい」

「ま、なにかあったら職員室にこいよ」

「うん、あざまーっす」


バタンと、閉じられた扉。


とゆうか挨拶って。しかも、もう部活ですか?着いて早々、早くない?

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