こっちとあっち
それから暫くして私ーーー否、俺は病院から退院していた。何故、入院していたかとゆうと【交通事故】に巻き込まれ頭部を強打。意識不明の重体だったらしい。
そんな重体患者目を覚ますなど奇跡!!と、先生は興奮していたが、しかし。何故こんなにも回復が早かったとゆうと他に外傷はなく、頭部を強打した事により脳が弱ってしまっただけ。だから、脳が正常に戻れば目を覚ます。と、先生は言っていたけど本当は目を覚ます確率は低かった、だってさ。
自分の身体が恐ろしく感じたのは言うまでもない。と、知らない人の部屋でゴロゴロしながら母から聞いた話を思い返す。私、じゃなくて俺はこの世界では学生らしい。中学生三年の終わり受験にも合格してようやく高校生とゆう時期に事故に遭ったんだと。そして、目が覚めたのは高校の入学式が終わって1ヶ月後の事。
ちなみに、その高校は東京にあるらしく寮に入って学校へ通うらしい。しかし、寮とかムリゲーすぎる。
だって男子寮だろ?考えただけで吐き気がする。
慣れない身体に戸惑いながらも思い出すのは階段から落ちた私のその後、だ。転生した世界は前居た世界となんら変わりはなくて、正直驚いた。だから、もしかしたら元に戻る方法があるんではないかと。私が住んで居たのは東京だから!そう思い込んで舞い上がって私は住んでいた住所を調べてみた。みたのは良いけど・・・検索結果に落胆。
なぜなら住んで居た私の家はなく、ソコは公園になっていたのだ。しかも知らない名前の公園。
「戻れないんだよね」
深い溜め息を吐き出して彼の部屋を眺めても溜め息が増すだけ。理由は一つ、この部屋はほんとにつまらない部屋だからだ。そもそも私がイメージする男子高校生とゆうものはゲームとかエロ本とかなんかこうもっと汚い感じがあった。のにだ。この子の部屋は何も無さすぎて逆に彼がどんな人生を送ってきたのか心配になる始末。
それにしても殺風景な部屋だ。と、室内を見渡す。並べられているのは教材、テーブル、ベッド、洋服ダンスのみ。
シンプルは好きだけどコレはシンプルすぎて、どうしたものか?なんだか、目を背けてしまいそうだ。しかし、そんな殺風景な室内にポツンと置かれた野球道具一式に目を細める。
ほんとに野球少年だったんだね、香クンは。
「うわー、綺麗に手入れされてるー」
小学校の時以来だろうか?それ以来野球のボール触った事無かったけどーーー持ってみると案外小さいので驚いてしまった。ボールってこんな小さかったっけ?いや、私の手が大きくなったのか?いや、違う。男の子の手ってこんな大きかったんだ。
香クン、じゃなくて、自分の手をマジマジと見つめる。本当に男の子なんだよね。
「なんか、複雑」
自分の身体じゃない身体を抱き締めて、また溜め息を吐き出した。