黒板消しに見透かされた笑顔
学級委員長に推薦された女の子
今日もそしてこれからも放課後は決まって
黒板消しをしていた。
女の子(正直、委員長なんてしたくなかったのに、、、)
そう、彼女は係決めの日体調を崩して休んでいたのだ。その翌日登校してみたらこの様である。しかも副委員長はサボりグセの多い事で有名なメガネ男子で今日もいつのまにかいなくなっていた次第である。
男の子「お?やってますね〜!
似合ってますね!よっ!学級委員長‼︎」
女の子「ちょっと‼︎どこいってたの?あなたも副委員長なんだから黒板消し、手伝ってよね!」
男の子「いやぁ、先生にサボってるの見つかってさ〜。学校の全部の教室の鍵閉めろってやらさせられててさぁ、、」そう言って大量の鍵束を見せつける。
女の子「フン、どうだか。どうせ職員室からこそっと持ち出してこっちに来ただけなんじゃないの?」
男の子「まぁ、サボりグセもここまでくると信頼も何もねぇよな。ハハ、、」
そう言って教卓に鍵束を置いてシブシブ黒板消しを持つ。
2つ持った彼は悪戯心が働いたのか彼女を振り向かせ目の前で思いっきり黒板消しを叩く。
女の子「もう、やったわね!」
そう言って委員長も負けじと叩く。
お互い顔はもうチョークの粉で凄い事に、、
副委員長「全くお前も満更でもねぇじゃねーかよw」そう言って濡らしてきたハンカチで委員長を座らせて顔を拭き始める。
委員長「ちょっと、これぐらい自分でできるよ。それに私メイクしてるし、、」そう言って立ち上がるも、
副委員長「ダーメ。やりだしたのは俺なんだし、黒板消しやらせてたのもあるし、、」
彼女の腕を掴みつつ座らせまた拭き始める。
委員長(何よ、、こういう時だけ素直になっちゃって。サボってばっかのくせに、、)
副委員長「よし、いいかな!、、、
あれ?委員長、スッピンの方が綺麗じゃん。(そう言って彼女の顔をさする
顔拭く前より。」
委員長「ちょっとそれどういう意味よ‼︎」
立とうとしてバランスを崩し彼の胸に飛び込む。彼女は下からメガネの奥の瞳を一瞬見つめていた。
彼女はいつの間にか腕を彼の背中に回していた
副委員長「ん?どしたの?」
委員長「い、いえ。何だか思い出してしまって、、」
副委員長「何を?」そう言って彼も彼女を包むように腕を背中に回す。
委員長「何で思い出せなかったんだろう。ごめんね。桃悟。」
副委員長「さて、何の話?僕は君の事知らないなぁ、委員長。」
委員長「そうその呼び方もあの頃と同じ。
こうしてもまだとぼける気?」
彼女は言うが早いか彼のメガネをはずさせた。彼は俯き、視線を彼女からそらす。
桃悟「そっか、思い出しちゃったのか、、
でもよかった。思い出してくれたなら。
でもまたさよならだね。僕だって一生思い出さなかったらまだ一緒に居られたのにね。
でも嬉しかった。ありがとう。日和!」
日和「待って!どう言う事!?
何で?折角思い出せたのに、会えたのに、、」
チュンチュンチュン
目覚ましの鳴らない代わりに開けっ放しだった窓から聞こえる鳥のさえずりで彼女は目を覚ます。
日和「え?なんだったの?
もしかして、、、夢?」
母「日和〜!ちょっと日和!
今日から新学期でしょ?お友達玄関で待たせてるわよ!」
日和「えぇ!?誰?」彼女は布団から転げ落ちるようにして起き上がりまた転げ落ちる
ように階段を駆け下り玄関をパンを一枚咥えて開ける。
桃悟「よっ!お前、新学期早々遅刻なんてヤベェぞ笑」
そう言って歩き出す。
日和(桃悟だ。あの時からの桃悟だ。
夢じゃなかったんだ。)
桃悟「何ジロジロ見てんだよ?
怖ぇな。」
日和「いや、何でもない。いやぁ〜メガネの桃悟も好きだったなぁ。」
桃悟「ハァ〜?何言ってんだお前。
夢でも見たんじゃねぇの?」
日和「そう、私夢見ちゃったのかもね!」
桃悟「何だそりゃ?
ってかお前ちょっと顔よく見せてみろ!」
そう言って彼は彼女の顎を片手で突き出すようにさせ、頬についた粉を払う
桃悟「よし、取れた!何の粉か知んねえけど、、」
日和「チョークの粉‼︎」
桃悟「お前、家にチョークなんてあんのか?」
日和「いや、ただそう思っただけ。
そう言えば桃悟、さっきから何ジャラジャラ言わせてるの?」
桃悟「あ、あぁ、、。それは昨日の夜学校に忍び込んで職員室から盗って来た鍵束だよ。
ちゃんと掛け直したはずなんだけどなぁ、、。あ、これ先生に内緒な!」
学校に着く。
先生「さて、皆さん新学期と言う事で
まず始めることはそうだなぁ。
係や委員を決めたいと思う。
まず、このクラスの学級委員長を決めたいんだが誰か居るか?」
クラスが一斉にざわつく
何故なら学級委員長は放課後の仕事が大変だからだ。
そんな中、出る杭と言わんばかりに一人手を挙げる者が居た。
日和「はいっ!先生」
先生「オォ。曽々ノ部、新学期早々積極的だな。それじゃあ、もう一人副委員長を決めてくれ!」
日和「縦石桃悟くんを推薦します。」
尚更、クラスがざわついた。
先生「桃悟、どうだ?」
クラスが注目するかの様に静まる
桃悟「別に皆んなが良いなら僕は良いですよ」
さっきまで暗かったクラスがパァっと明るくなった
こうして彼女達の委員長ライフは恋愛との両立で一変した。
まだ何も書かれてないはずの黒板はより一層きれいに見えた。あの時の夢の様に。そこにこっそりと隅っこに相合傘で二人の名前が書かれていたことは、
誰も知らない僕(語り手)だけの秘密。
桃悟「ねぇ、知ってる?黒板消し2つに自分達の名前書いて叩き合わせると恋が叶うんだって」