朝は弱い
電子音が二重奏を奏でるある一室
少しやかましい中でベッドからモソモソと這い出してきた1人の少女
寝相が悪いのか方に届かない長さの髪がボサボサになっているがそれをきにした素振りもせず目覚まし時計を止めるとカーテンを一思いに開けはなつ
シャッという小気味好い音と共に窓から寝起きの少女を容赦なく射抜く陽光が入ってくる
その眩しさに一時目を閉じ光にならすと伸びをしながら物の少ない部屋から出て行った
「ねぇちゃんやっと起きたのか?毎度毎度朝の大合唱を数十分放置はやめてくれないか?」
「ごめんごめん、でもあれでやっと起きれるんだから勘弁してよ」
乱れた髪をそのままにキッチンに顔を出せばすでに朝食の準備をしていた背の高い男から目も合わされずに小言を伝えられる
それに適当に返事を返しながら自分と弟の朝食を机に並べていく
ご飯に味噌汁、鮭の塩焼きとどうやら今日も和食の様だ
少し荒く切られた味噌汁の具材から彼の不器用さが伺える
「げっ今日は納豆ですか」
「ねぇちゃんが早起きして手伝ってくれればもうちょい手を加えられるんだけどなぁ」
「どうせ半日だからって夜更かしして寝坊したくせによく言うよ」
「話し逸らすなよ、それに俺より遅く起きた人がよくわかった口をきけるな」
「それくらいの予想は簡単なのだよ。普通に起きれてたならすでに食べているはずの時間だからな」
弟が顔に手を当て落ち込んでいる様な気がするがそれを無視しお味噌汁に口をつける
具材の形はバラバラであれに見えるが味は問題なく美味しい
「本当味は良くなるのに未だに包丁さばきがわるいよね、葵は」
「うるせぇ、気にしてんだからいうんじゃねぇよ。ってか文句あるならねぇちゃんが作ってくれよ」
「朝はダメだけど夕飯とか、洗濯とかは私がしてるからいいでしょー」
「昨日本読んでてぜーんぶ投げたのはどこの誰だったかなぁ」
「…さぁてそろそろ準備しないと遅刻しちゃうかなぁ」
「あ、こらねぇちゃん逃げんな、ってかせめて洗い物していけぇ」
少し汚いが朝食を流し込むとそのまま逃げる様に洗面所に消えていく姉を呼び止める様に悲痛な叫びが空く響いたがそれだけだった
その後身支度を整え今学期最後の学校に行こうと玄関に向かっている最中に弟の声が聞こえてきた
「あれ、ねぇちゃん、この段ボールなにー」
「あぁなんか昨日帰ってきた時に貰ってそのまま玄関置いておいたんだった」
「そんなぞんざいな扱いされたって聞いたら父さん泣いて飛びついてくるぞ」
「父さんからの荷物だったのか。それは遠慮したいから黙っててください」
「俺も被害受けるから言わないけど、気をつけてくれよぉ」
時間も押していたため荷物の確認は後に回し2人は出ていた