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~~~タイトル未定~~~  作者: サイト
始まりの物語
16/16

ジョブクエスト-1

当面はゴブリンの丘を攻略することを第一に前回の戦利品を半分程お金に変換し一通りの防具を揃えるために商店を見て回る一同

全員一度は見ているため品質の低いNPCの商店にすでに興味はない

今後も見据えてプレーヤーの商店がないかを探している


スキルを決める際に初期スキルを一度は見ているためそこに生産系のスキルが数多く含まれていたのだから少なくない人数が生産に走るのはこの手のゲームでは珍しくない

そして生産職が作る品々はNPCの商品とは比べ物にならないことが多い。


だがいかんせん初期の生産職がいきなり露店を開けるほど甘いゲームは少ない

そのため数時間後に結局はNPCの商店で買い物をするはめになるのだがそれはまだ先の話




「やっぱり初期段階で商人見つけるのは難しかったか」


「悪手ではないのだろうがさすがに情報が少なすぎるのだよ」


「でも今の商店の装備品ですとロードに効きそうにないのですよね」


「俺が盾で受けてもダメージ入ってきたから整えても辛いと思うぞ」


「それって所謂詰みってやつじゃないの」


代り映えしない商品の数々を前にため息をつく一同

そんな暗い空気の中でかわいらしい音がやけに響く

発生源を見てみると浬恵が自分のおなかを押さえながら赤面して俯いていた


「えっと、これはこっちで食べて治す異常状態なのかな」


「ねぇちゃん、俺らはお腹がすいてないみたいだけど、もしかしてお昼食べないで遊んでるんじゃないよな」


少し怒気を含んだ葵の声に思わず視線を横に流してしまう浬恵だがそれはそれで肯定と同義である


「そういえばギルドの方で飲食できたはずだろうから皆で行こう?ね、そうしよう」


「こら、ねぇちゃん逃げるな」


そういうなり走り出した浬恵に声を上げながら葵が追いかけていく

その光景に遅れながらも仕方なさそうに月野兄妹もついていくのだった




「こっちで食べてお腹が満たされるけど現実でだとどうなってるのかな」


「さぁな、でもゲームの中の時間と向こうの時間とで時差が結構出てるみたいだからお腹がすく仕様になってるんじゃないか?」


「空腹時はステータス補正で弱くもなるようだからな、ずいぶんとシビアなシステムのようだ」


あの後いとも簡単に葵に追いつかれた様子の浬恵は月野兄妹が追いつくまで説教を聞かされていたのだ

戦闘を思い出すなら浬恵に葵が追いつくことはまず不可能なことを考えるに空腹の厄介さが伺える


「ねぇちゃんもしかして空腹になって座り込んだのを恐怖と勘違いしたとか笑えない冗談言わないよな」


「死ぬのが怖くない訳ないからそうは思いたくないかなぁ」


「そうですよね、葵あんまり不謹慎なことを言うんじゃないわよ」


「お前俺にはとことん口悪いよな、ほんと」


ご飯の時間とはずれているのか周りにあまり人がいない食堂で話が弾む四人

何の食材かは気になるがおいしいその料理の前には当然かもしれない

そんな浬恵たちに近づく一つの集団

がっちりした鎧に身の丈ほどの大盾が印象的な男と軽装の弓を担いだ女、身の丈ほどの大剣を持つ男という完全にプレーヤーらしからぬ集団である


「おぬしら、すこしわしらに付き合わないか?」


ほとんど食べ終わったというところでそう盾を持った男が訪ねてきた

むろんいきなりその集団に声をかけられ唖然と固まる浬恵一同


「ばか、それで伝わるわけないでしょうが、要件を伝えなさいよ、要件を」


「たたくことはなかろう、たたくことは」


「すまんな、馬鹿二人は無視してくれ。で、急な話なんだけが新米冒険者に技を伝えていくのがギルドの伝統でね。自分たちと君らの相性がよさそうだったから声をかけたんだけど、この後予定あったかな」


「いえないですけど、三対四で特訓ですか?」


「えっと、そこは申し訳ないんだけど、拳闘士ちゃんは見送りでいいかな、ここのギルドに拳闘士っていないんだよね」


「ふむ、我々だけ強くなっても後々大変になってしまうな」


「でもレアスキル取得のかもしれないし私はいいから皆でやって来てよ」


双方から申し訳なさそうにされながら皆が奥に歩いて行くのを見送ると溜息一つ吐き暇な時間にクエストボードでも見ようかと歩き始める


「ボッチちゃん暇なら私が見てあげようか?」


どうも俯いていたらしく人の足が前に割って入ってくるのを見て足を止め視線を上げる

どこか聞き覚えのあるような声であったが顔を見ても誰なのかわからないのでその考えを無くし初対面の人であろうと思い首をかしげた

蒼いドレスのような衣服に動きをなるべく妨げないように取り付けられた銀の鎧

すこし派手なその装備に埋もれることのなく美しさを醸し出すそんな女性である

その中でとくに目につくのは背中に背負われた彼女よりも一回りも二回りも大きな戦斧である

巨大な円を描く様に光る両刃を持つその斧を彼女が振るう姿はとても想像できない


「えっと、遠慮します」


その異様さに再度目を伏せて走るように出口に向かうが振り返った先にはすでに先の人物が立っていた


「そう逃げることないじゃない。どうせこの街であなたの面倒見られる人がいないのならより強い人に教わる方が楽しいと思わない?」


「でも重戦士と拳闘士って戦法がずいぶん違いませんか」


「なにいってるの、その速さにうちの重さが加われば最強じゃない、それに火力に困っているんじゃないかな…決まりでいいかな?ではではいきましょー」


「ちょ、まだ心の準備が「いつでも準備万端で事が弾むとは思わないことよ」そんなぁ」


女性の言葉に一瞬たじろいだことがいけなかったのか

にやりっと笑顔を浮かべたその人に右手を取られ建物の奥に引きずられるように連れ出される

存外否定的な浬恵だがあまり抵抗していないのだから強くなれることに期待しているのかもしれない


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