始まりは唐突で
消えていた感覚が徐々に戻ってくると同時に、真っ暗な視界に一筋の光が差し込み世界が彩られていく。
その眩しさに目を瞑り手で覆えば伝わってくる体の違和感、それに気付かないふりをしつつ馴染んだ眼を開いていく。
レンズ越しに見る世界とは違い、なにも通さないで見える世界は新鮮で、感動した自分に少し嫌悪感を覚えてしまう。
見渡す限り周りには際立ったものが見当たらない草原にただぽつりと立たされている自分。
草を踏みしめる足はなにも履いておらず、チクチクとした感覚が足裏から伝わってくる。
少しごわついている白い布製であろう服はどちらも短く白い肌を惜しげもなく晒してくれている。
そんな状況で一人空しく立たされている自分。これは何の苛めであろうか…
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ある時生まれた世界を革新させた法『全人類管理法』。
悪くなっていくばかりの世界をみかねてある時誰かが唱えたとされる異例の法。
なぜこのようなものが全世界で適用されたのか、それを知る者はもう居ないであろうほど古くなった法。
生まれたばかりの赤ん坊の首元にチップを埋め込みこのチップからその人のすべてを監視し、マザーコンピューターにより人類すべてを管理するというようなよくわからない法。
その詳細を聞いても誰も詳しく答えてはくれないような法であるが、誰も不思議がることなく受け入れ実行されてきた謎の法。
だれも不思議に思わない時点で謎にもならないのではあるが……
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