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同年同日 23時50分

 深夜とあっても、クリスマスイヴとあっても。テレビ局は不夜城、眠らない人々が働き詰めている。


 とある会議室の中に、男が二人、女が一人。揃いも揃って何日寝ていないのか、髪は脂で濡れたように光り、肌には吹き出物が浮かんでいる。皆身なりに気を使えばかなりの美男美女であるのに、宝の持ち腐れだった。


 そこに、一人の男が現れた。肌の黒い、若者ぶったラフな服を着こなしているがそれなりに歳はとっていそうな男だ。シミやシワはあるものの、かつては色男であったのだろうことが伺える容姿だ。


「おはようございます」


 室内に挨拶が響く。男は着くなり「で、決まったの?」と言った。


「最終選考の四人まで絞ったんですけど……」


 一人の若い男が写真の張り付いた四枚の履歴書を差し出す。色黒男はそれを一瞥すると、「なるほどね」と呟いた。


「どいつもこいつも優秀で申し分無し、ときて見た目もみんな『イコライズ』か」


「そうなんです」


 四枚の写真に写っている女は、皆がこれ以上ない程に整った顔立ちをしていた。髪型や部位に多少の差異はあるも、姉妹だと言われれば納得してしまうであろう程に似ている。


「どれどれ……」


 色黒男は今度はじっくり履歴書を読み始める。その間、一人の若い男は巷で話題の最新エナジードリンクを一気飲みしていた。


「おい、これ見ろよ」


 色黒男が言って、三人が履歴書を覗き込む。「気付かねぇか?」


「……何かありました?」


「バカ、コイツの苗字見ろ」


 そこには、馴染みの無い変わった苗字があった。


「コイツは一期前の文部科学大臣の孫だぜ! しめた。イイのが釣れたな。次の『お天気お姉さん』はコイツで決まりだ」


 色黒男がコツコツと指で叩く写真には、優しく笑みを浮かべる、女の顔があった。

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