進化するも尚歩みを止めず
「ヴィンデー! 倒したの! 凄いじゃない! オークを食べているグロ映像には少し引いたけど」
オークを食べ終わったとき、木の陰からフレーズが飛んできた。
「あぁ、油断したらやられてたけどな」
小さな吐息を漏らして僕は言った。
でも、これで進化できる。
進化先を一気に表示してみる。
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・ファイヤーリザード(メラニスティック種)
コーラ地方の溶岩地帯に生息できるように進化したトカゲ。
炎に強い耐性を持つだけでなく火による攻撃を得意とする。
取得可能スキル:【火炎攻撃】
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・ジャイアントファイヤーサラマンダー(メラニスティック種)
巨大な体のファイヤーサラマンダー。
体内のガスの量も増え、強力な火の息を吹きだす。
取得可能スキル:【火炎の息】
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・リザードマン(メラニスティック種)
歩くトカゲの異名を持つ蜥蜴人。
二本足で歩くことにより、武器を持つことができるようになった。
取得可能スキル:【剣攻撃】
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・BLACKAB
謎の生物。BLACKAB。
これを選択しないと後悔する。
取得可能スキル:【???】
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……なりふりかまわなくなってきてないか?
BLACKABって、ブラック・エービー……ブラック海老だろ。
選んだら絶対に後悔するよ。
前の僕なら二足歩行に憧れて躊躇なくリザードマンを選択していただろうが、今は違う。
大勢の相手と戦うことを想定すると、ジャイアントファイヤーサラマンダーの火炎の息が魅力的だ。
火の息が料理の時程度にしか使えない死にスキルになる気がするが、これでいいだろう。
「フレーズ、今から進化する」
「え?」
【G.F.サラマンダー(メラニスティック種)に進化します。よろしいですか?】
略された。種族名を略された。
文字数が多すぎるのか。
まぁいい、これでOKだ。
【選びなおすことはできません。本当によろしいですか?】
わかってる。OKだ。
そう念じた直後であった。
【ヴィンデはG.F.サラマンダー(メラニスティック種)に進化した。各種ステータスが変化しました】
【スキル:火炎の息を取得した】
【スキル:HP自動回復のレベルが3に上がった】
【スキル:肺呼吸のレベルが3に上がった】
「ヴィンデ、大きくなったわね」
「……まぁな、3メートルくらいか」
これでもブラックシャークよりは小さいが、ステータスはブラックシャークよりはるかに高い。
HPが500をオーバーしたことでHP自動回復のレベルが上がり、息攻撃の数が増えたため、肺呼吸のレベルもアップ。これで肺活量が増え、火炎の息を長い間放つことができるし息切れもしにくくなる。
でも、これでもまだ、500体のオーク相手に戦えるとは思えない。
むしろ、巨大な体というのは1対500の戦いになると不利になる。格好の的でしかないからな。
「フレーズ、もう一度確認する。あと4日はノーチェは無事なんだな」
「ええ。あ、もう太陽が昇り始めてるから、あと3日ってところね。3日後の正午、太陽が真南に来たとき」
「時間があまりないな」
目的の場所までここからさらに片道400キロメートル、往復800キロメートルか。
時速60キロで走っても、13時間20分。
直線で進めない場所もあるかもしれないからそれ以上か。
体が大きくなったことで速度も上がったとはいえ、これはきついか。
なぁ、叡智! 何かいいスキルはないか?
【スキルポイントを5支払い、猪突猛進を取得しますか?】
ん、あったのか。
【スキル:猪突猛進を取得した】
【スキル:猪突猛進のレベルが2に上がった】
【スキル:猪突猛進のレベルが3に上がった】
【スキル:猪突猛進のレベルが4に上がった】
【スキル:猪突猛進のレベルが5に上がった】
猪突猛進のレベルアップ条件は速度の数値。
真っ直ぐ走っている時に限り、加速度と最大速度がアップするそうだ。
さらに速度もアップした。
これならいけるな。というか、そんなスキルがあるのならもっと早く覚えておけばよかった。
それならエルフの森にもっと早く入れたのに。
「よし、行ってくるか」
「まって、ヴィンデ、どこに行くの!?」
「ちょっと海の見える砂浜に行ってくる!」
僕はそう言うと、猪突猛進の力を使い一直線に走って行き――木に激突した。
これ、かなり使い方難しいぞ。
【スキル:体当たりのレベルが2に上がった】
……よし、もう行くぞ!
僕は全力で走って行った。
何度も木に激突しそうになりながら、時には本当に激突してしまいながら。
そして、森を抜けると一気に走って行った。
なんと5時間で目的の場所についた。
その砂浜で、僕は彼女に出会った。
青い髪の二十歳くらいの女性。
突然現れた僕に、彼女は驚き逃げようとするが、
「待ってくれ!」
「……!? その声……そう、あなたなのね、ヴィンデさん」
彼女はすっかり変わった僕の姿を、声だけでわかってくれた。
彼女がここにいるとは思いもしなかった。てっきり、彼女は二度とこの場所に来ないと思っていたから。
「久しぶりだな、アネモネ」
かつて僕の名前の意味を教えてくれた彼女に、そう声をかけた。
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名前:ヴィンデ
種族:G.F.サラマンダー(メラニスティック種)
レベル:1(-14)
HP 213/501(+217)
MP 182/364(+110)
状態:記憶喪失
スキルポイント 18(+8)
攻撃 351(+95)
防御 300(+79)
速度 416(+109)
魔力 266(+33)
幸運 32
経験値補正+30%(+10%)
スキル:【捕食:Lv5】【言語理解:Lv2】【叡智:Lv3】【ステータス把握:Lv4】【スキル鑑定:Lv6】【索敵:Lv4】【泡:Lv3】【献身:Lv1】【硬い鱗:Lv2】【鋭い歯:Lv3】
【肺呼吸:Lv3】【土魔法:Lv4】【鮫肌:Lv2】【HP自動回復:Lv3】【忠義:Lv2】【毒攻撃:Lv2】【回復魔法:Lv3】【マッピング:Lv3】【嗅覚強化:Lv3】【変身:Lv4】
【擬態:Lv2】【良眠:Lv3】【テイム:Lv2】【君主:Lv3】【称号鑑定:Lv6】【挟力UP:Lv1】【悪食:Lv2】【アイテムBOX:Lv5】【尻尾攻撃:Lv2】【MP自動回復:Lv2】
【水魔法:Lv2】【風魔法:Lv1】【火魔法:Lv1】【美味しそうな香り:Lv2】【火の息:Lv3】【麻痺攻撃:Lv3】【感覚強化:Lv1】【軟着陸:Lv3】 【暗闇攻撃:Lv1】【鑑定:Lv2】
【脱兎:Lv3】【スケープゴート:Lv2】【経験値貯金:Lv1】【毒針:Lv1】【舌攻撃:Lv1】【蜜採取:Lv1】【殻篭り:Lv1】【吸着:Lv1】【体当たり:Lv2】【孤独耐性:Lv1】
【称号変換:Lv1】【消化促進:Lv1】【沈黙攻撃:Lv1】【猛毒攻撃:Lv1】【酸攻撃:Lv1】【錬金術:Lv1】【魔導書記:Lv2】【記憶固定:Lv3】【罠作成:Lv1】【スキル変換:Lv1】
【消臭:Lv1】【火炎の息:Lv1】【猪突猛進:Lv5】
称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】【子持ち】【子沢山】【スキル収集家見習い】【魔術師】【出世魚】
【称号収集家見習い】【ハートブレイク】【ネームドモンスター】【毒持ち】【癒し手】【迷宮ウォーカー】【魔王を討伐せし者】【スキル収集家】【共生】【支配者】
【称号収集家】【貝の天敵】【レアアイテムイーター】【異世界有尾類】【レアモンスター】【スキルマニア】【小金持ち】【四大元素魔術師】【レアハンター】【怪人10面相】
【称号マニア】【木登り手習い】【暗闇持ち】【スキル辞書編纂者】【蜂の天敵】【蛙の天敵】【スキル編纂室長】【麻痺持ち】【沈黙持ち】【猛毒持ち】
【称号辞書編纂者】【蟻の天敵】【巣窟破壊】【蒼の守護者】【アルケミスト】【勉強家】【信者】【逃亡者】【大逃亡者】【罠師】
【称号辞書編纂室長】【成長期】
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増減は、チキンランナーの焼き鳥作成からの変化。




