閑話 翼竜襲撃
今回は閑話です。新スキルを覚えますが、あまり物語は進みません。
かなり短いです。
やばいやばいやばいやばい。
思わぬピンチに僕は死にそうになっていた。
失敗した、やりすぎた、逃げたい、いや、逃げてるんだけど。
黒い気配――翼竜に終われていた。
僕を追ってきていた羊や蜂は、翼竜が現れると散り散りになって逃げて行った。
【翼竜:HP9980/9980】
強くなったと思っていた。だが、やはりどこにいっても絶対に勝てない敵はいる。
海の鯱、森の蛇、そして草原の竜。
でも、翼竜があの強さということは、僕も進化したらあのくらい強くなれるのだろうか?
なんて思いながらも、今は逃げのびることが優先だ。
「微風」
風魔法でこちらを風下にしようとするが、それでもやはり匂いを完全に消し去ることはできないようで、翼竜はこちらに向かって飛んできた。
ならば――
スケープゴートと美味しいそうな香りのコンボ発動!
毎度おなじみ僕のぬいぐるみが登場し、美味しそうな香りを出す。
【スキルポイントを3支払い、消臭を取得しますか?】
迷っていられない。YESだ!
【スキル:消臭を取得した】
消臭発動しろ! すると、僕の匂いがかき消されていく。
まだかすかに残っているのはレベルが低いせいだろうが、翼竜が嗅覚強化を持っていなければ気付かれることはない。
翼竜は予想通り、降下先を僕のスケープゴートに向けた。
そして、スケープゴートを食べたその途端、爆発を起こして、煙をあげた。
「落穴!」
浅い穴を掘ってその中に隠れると同時に、擬態を発動。周囲に溶け込むように姿を消す。
消臭と擬態のコンボがあれば、索敵スキルを持っていない限り見つかることはないだろう。
隠形スキルがあればもっといいんだろうが。
煙が晴れていくと、
【翼竜:HP9845/9980】
口の中で爆発したというのに、HPは1割も減っていないのか。
翼竜は周囲をみわたし、空高く飛びあがった。
諦めたのか。
そう思ったら、頭上の翼竜は、何かを見つけたようで、そちらに向かって降下を始めた。
一体、何を――そう思ったら、索敵スキル圏外に、大きな地竜がいた。あいつを狙ったのか?
そう思ったら……
まずい、人がいる! 3人も。
遠目なのでもしかしたら男女の区別もできないが、あれはコボルトなどではない、紛れもない人だ。
あんなのに襲われたら、あの3人は死んでしまう!
助けないと、でもどうやって?
そう思った時だった。
人が杖のようなものを振り上げると、杖から巨大な雷が発生し、翼竜を飲み込んだ。
そして、次の瞬間、翼竜の姿は消えてなくなっていた。
(すごっ、もしかして、あれは魔法なのか?)
あの三人の力があればエルフの森を守れるかもしれない。
助力を願い出ようか……そう思ったが、あの三人が良い人かどうかもわからないし、僕の今の姿は魔物そのもの。
下手したら近付く前に殺される。
三人に力を求めるのを諦め、僕は穴から抜け出すと、南へ向けて走って行った。
これはあくまでも閑話ですが、あの三人の人間が誰だったのか?
その謎は本作では明かされることはありません。
異世界でアイテムコレクター第85話あたりを読んでみたら、少しはわかるかも、とか宣伝してみます。




