チキンランナーの焼き鳥作成
よく20時間以上テレビで100キロマラソンが放送された。芸能人が100キロメートルの距離を20時間以上かけて走るのだ。だが、あれは舗装された道を走っている。
しかし、僕が走っているのは森の中だ。
しかも、人間と違い、僕の身体はとても小さい。
本来なら20時間どころか30時間、40時間は覚悟しなくてはいけない。
幸い、ステータスも成長しているので、そこそこ速く走れるが。
神は3日後、エルフの村が何者かに襲われると言った。
だが、72時間後というわけではない。猶予はもっと短いかもしれない。
それに、エルフの皆に事情を説明し、説得し、避難するなり防衛準備するための時間が必要になる。
となれば、1分でも1秒でも早く到着しなくてはいけない。
全力で走りながら、僕は何か良い手段がないかと考える。
風は生憎向かい風。微風を使えば速度は上げられるだろうが、MPが足りなくなる。
……ん、向かい風?
「そうだ……あれだ」
僕は美味しそうな香りを使った。自分自身に。
突如、周囲に点在していた気配――風下にいるその気配がこちらにむかって向きを変えた。
僅か上方にいることから、追ってくるのは飛んでいる生物――蜂か鳥か。
そして、僕はその敵から逃げるように走る。
すると、僕の速度が1割増しになる。
スキル、脱兎が発動したのだ。
ダメだこれだけじゃ、まだ足りない。
走っていると、僕は草原に出た。確か、ここはかつて翼竜と地竜を見た草原。
南東に走れば目的の場所だ。
美味しそうな香りを再び付加させる。
また遠くから気配が近付いてくる。
うわ、羊だ、羊の群れだ!
ものすごい勢いでこちらに向かって走ってくる。
【ノーザンシープ:HP26/26】
美味しそうな香りは草食動物にも有効なのか。
そう思った時だった、僕は見てしまった、羊の口から生えた凶暴そうな牙を。
肉食だぁぁぁっ! 間違いない、あの羊は間違いなく肉食だ!
もちろん雑魚なんだけど、ただ足は速い。
追いつかれないように逃げるのは苦労しそうだが――
【スキル:脱兎のレベルが2に上がった】
スキルレベルアップ来た! 速度も3増えた。
と同時に、足が軽くなる。脱兎による逃げ速度上昇が3割増しになったのだ。
それでも、まだ羊のほうが足が速い。
このままでは追いつかれる。
ていうか、あの羊、速すぎるだろ!
他の肉食動物に襲われないためだろうが――くそっ、ここで一度倒しておくか。
そう思った時だ、索敵スキルにそれがかかった。
鳥だ、鳥の群れだ。
美味しそうな香りを再び付加して、僕はその鳥の群れの下を突っ切る。
すると、頭上の気配は急降下してきた。
【コースピジョン:HP8/8】
「うわっ! よっ、とっ!」
僕を食べようとする鳥を躱しながら、僕はさらに走り続ける。
これは手ごわい。
羊以上の雑魚だが、空からの攻撃は正確で、躱すのに苦労している。
【スキル:脱兎のレベルが3に上がった】
よっしゃ! これで逃走中の速度が5割増し!
これなら逃げられる。
再び美味しそうな香りを付加させて逃げようとした、その時だった。
コースピジョンの一匹が蜂の巣に当たったのを僕は振り返りながら確かにこの目で見た。
そして、落ちてしまった蜂の巣から大量の蜂が出て来て、やはり僕を追ってきた。
【スキル:脱兎のレベルが4に上がった】
【称号:逃亡者を取得した】
【スキル:脱兎のレベルが5に上がった】
【スキル:脱兎のレベルが6に上がった】
【称号:大逃亡者を取得した】
走りながら称号を確認する。
逃亡者は100以上の相手から逃げていると手に入る称号。速度が10上がる。
大逃亡者は1000以上の相手から逃げていると手に入る称号。速度が20上がるらしい。
これで一気に速くなる。通常の5倍だそうだ。
だが、僕が全力で走っていると、後方の魔物と引き離し始めた。
うん、もういいや。だいぶ距離を稼げた。
なのでスケープゴートを3体作って、美味しそうな香りを付加させる。
僕への攻撃を諦めかけていた、コースピジョン達が、僕の偽物に攻撃を加えた。
鳩に包まれた僕の偽物は爆発を起こし、50近い焼き鳥を作る。
動物愛護団体に怒られる気がするな。
【経験値7取得】
【経験値7取得】
【経験値7取得】
【経験値7取得】
【経験値7取得】
【経験値7取得】
【経験値7取得】
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【経験値7取得】
【スキル:スケープゴートのレベルが2に上がった】
【称号:罠師を取得した】
【スキル:罠作成を取得した】
【称号:称号辞書編纂室長を取得した】
【スキル:称号鑑定のレベルが6に上がった】
【スキル:スキル変換を取得した】
【称号:成長期を取得した】
【スキル:記憶固定のレベルが3に上がった】
【経験値7取得】
【経験値7取得】
突如、僕の身体が軽くなる。
ステータスが一気に上がったのだ。
スキル変換というスキルにより、僕のステータスが60上がった。称号による上昇を含めたら63上がったことになる。
速度に至っては、この草原に来る前の5割増しだ。
成長期は、短い間にステータスが大幅成長したものに与えられる称号。
きっと、前の称号変換取得時の成長を含めての成長期取得なんだろう。効果は、経験値補正+10%。
速度とHP……つまりはスタミナにあたる部分が大きく上がった。
これなら脱兎がなくてもなんとかなるか。
僕は迫ってくる羊や蜂を一気に引き離すと、南東のエルフの森へ向けて全力で走って行った。
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名前:ヴィンデ
種族:ファイヤーサラマンダー(メラニスティック種)
レベル:15(+1)
HP 213/284(+72)
MP 182/254(+72)
状態:記憶喪失
スキルポイント 10(-32)
攻撃 256(+68)
防御 221(+67)
速度 307(+110)
魔力 233(+67)
幸運 32
経験値補正+30%(+10%)
スキル:【捕食:Lv5】【言語理解:Lv2】【叡智:Lv3】【ステータス把握:Lv4】【スキル鑑定:Lv6】【索敵:Lv4】【泡:Lv3】【献身:Lv1】【硬い鱗:Lv1】【鋭い歯:Lv3】
【肺呼吸:Lv2】【土魔法:Lv4】【鮫肌:Lv2】【HP自動回復:Lv2】【忠義:Lv2】【毒攻撃:Lv2】【回復魔法:Lv3】【マッピング:Lv3】【嗅覚強化:Lv3】【変身:Lv4】
【擬態:Lv2】【良眠:Lv3】【テイム:Lv2】【君主:Lv3】【称号鑑定:Lv6】【挟力UP:Lv1】【悪食:Lv2】【アイテムBOX:Lv5】【尻尾攻撃:Lv2】【MP自動回復:Lv2】
【水魔法:Lv2】【風魔法:Lv1】【火魔法:Lv1】【美味しそうな香り:Lv2】【火の息:Lv2】【麻痺攻撃:Lv3】【感覚強化:Lv1】【軟着陸:Lv3】 【暗闇攻撃:Lv1】【鑑定:Lv2】
【脱兎:Lv6】【スケープゴート:Lv2】【経験値貯金:Lv1】【毒針:Lv1】【舌攻撃:Lv1】【蜜採取:Lv1】【殻篭り:Lv1】【吸着:Lv1】【体当たり:Lv1】【孤独耐性:Lv1】
【称号変換:Lv1】【消化促進:Lv1】【沈黙攻撃:Lv1】【猛毒攻撃:Lv1】【酸攻撃:Lv1】【錬金術:Lv1】【魔導書記:Lv2】【記憶固定:Lv3】【罠作成:Lv1】【スキル変換:Lv1】
称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】【子持ち】【子沢山】【スキル収集家見習い】【魔術師】【出世魚】
【称号収集家見習い】【ハートブレイク】【ネームドモンスター】【毒持ち】【癒し手】【迷宮ウォーカー】【魔王を討伐せし者】【スキル収集家】【共生】【支配者】
【称号収集家】【貝の天敵】【レアアイテムイーター】【異世界有尾類】【レアモンスター】【スキルマニア】【小金持ち】【四大元素魔術師】【レアハンター】【怪人10面相】
【称号マニア】【木登り手習い】【暗闇持ち】【スキル辞書編纂者】【蜂の天敵】【蛙の天敵】【スキル編纂室長】【麻痺持ち】【沈黙持ち】【猛毒持ち】
【称号辞書編纂者】【蟻の天敵】【巣窟破壊】【蒼の守護者】【アルケミスト】【勉強家】【信者】【逃亡者】【大逃亡者】【罠師】
【称号辞書編纂室長】【成長期】
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スキルと称号が増えすぎていますが、整理する気はありません。




