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フレーズの秘密の開示

「お、嗅覚レベルが上がった」


 先ほど、【嗅覚強化のレベルが3に上がった】と叡智さんからのメッセージが流れた。

 花が多い迷宮だからかな?

 ちなみに、鑑定で多くの花を鑑定している。レア度1の花がほとんどだが、そのおかげで鑑定レベルがもうすぐ上がりそうな気がする。

 もちろん、花の中にもレア度0のものも存在するし、レア度2以上の花も存在するので、まだ70種くらいだろうか?


「ヴィンデ、スキルのレベルがわかるの?」

「あぁ、自分のスキルと、あとリベルテのレベルだけだがな」


 リベルテはステータスを開示してくれているからな。

 フレーズもステータス閲覧許可を出してくれたら見えるのだろうか?

 それとも、配下のステータスしか見れないのだろうか?

 そのあたりはわからない。

 んー、ステータス把握のレベルアップ条件が、配下のステータス閲覧許可だったからな。配下の魔物にしかステータスが見れないのかもしれない。

 あれ? それなら、テイムスキルがないとステータス把握レベルが上がらなかったのか?

 いや、そんなことはないか。考えてみればスキルのレベルアップ条件は一つとは限らないからなぁ。


 なら、嗅覚強化も花の香の他になにかレベルアップ条件があるのだろうか?


「なぁ、フレーズ、ステータス閲覧許可って出してもらっていいか?」

「ステータス閲覧許可? 何それ」


 あぁ、そうか。そこから説明しないといけないのか。

 リベルテは食べ物に目が眩んで説明もなく簡単に出してくれたけどな。


 僕はかいつまんで、説明をした。


「で、どうやるの?」

「いいのか?」

「いいわよ。見られて困るものはないと思うから」


 いや、相手の情報が丸わかりなら、僕が裏切ったら困ると思うんだけど。

 個人情報とかプライバシーの問題じゃない、命に関わるというのに。


 とはいえ、僕もどうしたらいいのかわからない。


「んー、ステータス閲覧を許可する、みたいに言ってみたらいいのかな?」

「わかったわ。ステータスの閲覧を許可する」

【共生:フレーズのステータス閲覧許可が出ました】


 叡智さん、食い気味で僕にメッセージを伝えてきた。

 フレーズとは共生関係だったのか。色が変わったのは気付いていたけど。


……………………………………

名前:フレーズ

種族:妖精種フェアリー

レベル:3


HP 15/15

MP 24/24

状態:通常

スキルポイント4


攻撃 3

防御 23

速度 42

魔力 39

幸運 14


スキル:【妖精魔法:Lv6】【飛行:Lv3】【脱兎:Lv2】


称号:【魔術師】【妖精蜜職人】【長寿】【敗北者】【逃亡者】【勝ち知らず】【小金持ち】

……………………………………


 あれ、なんだろう。涙が出てきた。

 称号が悲しすぎる。


 敗北者は勝負に100回負け、逃亡者は勝負から100回逃げ出し、勝ち知らずは勝負に100連敗することでもらえる称号らしい。負け知らずの称号は取れるのかね?

 あぁ、でも僕はついさっきクイーンスネークから逃げ出したばかりだから取れるとしたらだいぶ先か。


 ただ、ネームドモンスターがないあたり、フレーズはやはり魔物とは違うんだな。

 長寿は100歳以上でもらえる称号。長生きしているというのは本当らしい。

 妖精蜜職人は、一定量、妖精蜜を作り出した者がもらえる称号だとか。


 ちなみに、妖精蜜職人のボーナスは妖精魔法レベルアップ。

 長寿は幸運+5。

 敗北者と逃亡者は脱兎取得&レベルアップ。

 勝ち知らずは防御+5らしい。


 僕も持っている小金持ちの称号は、さっき金貨を渡そうとしたときに取得したのだろう。

 僕が彼女に渡すという意思表示をした時点で、彼女が受け取りを拒否するまでの間金貨の所有者は彼女になっていた、ということかな? 受け取るという意志があったのかもしれない。


 もちろん、彼女が蜜を売ってお金を稼いだだけかもしれないが。


 100年以上生きていて、称号がこれだけって少ないなぁ。

 いや、これが普通なのかもしれない。

 考えたら僕もリベルテも普通の生き方をしていないから。


「なぁ、フレーズ、お前、一体誰に負けたんだ?」

「何よ、急に! 誰にも負けてないわよ!」

「いや、称号っていうのがあってだな」


 僕は彼女について称号の説明をすると、フレーズは「あちゃぁ」と失敗したように手で目を押さえた。


「わかったわ。正直に言うわ」

「いや、いままでもかなり正直に言ってくれていると思うが」


 むしろウソがつけないというか。ウソがバレバレというか。

 サイモンが平然とウソをつく人間だとすれば、フレーズはウソを付こうとして事実を言う妖精だろう。


「今度こそ正直に言うわ。実は魔王っていうのは――私だったの!」

「で、本当のことは?」

「違うのよ! 私が本当は魔王なのよ! なんて説明したらいいのかな」


 僕は鈍感系主人公とかに向いていると思うほど察しが悪い人間だ。

 実はこの迷宮の魔王がフレーズがこの迷宮の魔王じゃないか? って思うこともあった。


 花ばかりの迷宮、バカなのに迷宮に詳しい知識の出所、宝箱の中のガラクタ。

 さらに、フレーズが僕を魔王退治に選んだ理由、「別に誰でもよかったのよ。私よりも強ければ」というセリフ。

 全てが彼女が魔王なんだというフラグだったと思っていた。


 でも、


「流石に100連敗中の魔王とかないだろ」

「もう、それを言わないでよ! 私はここの魔王なの!」

「あぁ、わかったわかった。で、本当の理由は?」

「本当だもん、本当に魔王だもん!」


 やば、フレーズが泣き出した。

 なんだこれ、僕が悪いのか?


「魔王になるんだもん」

「魔王になる?」


 何かおかしな言葉が聞こえた――その時だった。

 何かが近付いてくる。


 色は――薄い赤。僕よりは弱い何かが。

 そして、怒気を孕んだ声が聞こえた。


「お姉さまを泣かせるなぁぁぁぁっ!」

11月4日はお休みになります。

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