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迷宮探索中

「何してるの?」


 倒した花の魔物の死骸をアイテムBOXにしまっている俺に、フレーズが首をかしげて尋ねた。


「いや、今度の夕食にしようとアイテムBOXにしまってるんだ。花なのに、こいつの味玉ねぎに近いから、肉と一緒に炒めたら絶対おいしいだろ?」


 地上なら食用キノコもあったし、それと一緒に炒めてもいいな。


「おいしいだろ? って、私肉とか食べないし」

「ふぅん、そこはエルフと一緒だな」


 ノーチェも肉は食べないって言ってた。


「エルフの中にも肉を食べる人はいるわよ? 人間や獣人の町に出るとどうしても食べないといけないことが多いから。好んでは食べないみたいだけど」


 そうなんだ。好きじゃないってだけか。


「あ、リベルテは食べたいって言ってるわよ」

「俺は、リベルテが食べたくないって言うのを聞いたことがないよ」


 土でも毒液でも食うからな。

 嫌いなものがあるんだろうか?


 あるとしたら、きっと意外なものだろう。

 斬鉄剣はこんにゃくが切れない、くらいに意外なもの。


 んー、リベルテがいままで食べたものってなんだろ?

 肉、魚、キノコ、花、毒液、土。

 やば、食べられないものが見当たらない。


 こいつが100万匹いたら、大陸から全ての有機物がなくなってしまうんじゃないかというくらい食べるぞ。


「えっと、リベルテは水を飲むのがあまり好きじゃないみたい」

「それって、フードファイターが水を飲み過ぎると胃がいっぱいになる理論だろ」


 全身、半分液体みたいな身体をしていながら水を飲まないって、どんな生活なんだよ。

 でも、毒液は飲み干してるんだよな。

 あれかな、水は飲まないけど、毒液はスープ、みたいな?


「それにしても広いな、この迷宮。まだ2割しか踏破できていない」


 マッピングで探索率が出てくる。探索率21%だった。

 海底迷宮と違い、脇道が多いから余計に探索率を増やすのを妨げている。


「この迷宮? ヴィンデは他の迷宮にもいったことあるの?」

「あぁ、海の底の迷宮でな、ここよりもかなり小さい迷宮だった」

「海の底? あぁ、そうか。ヴィンデはトカゲじゃなくてサラマンダーだから、水の中でも平気なのね」


 いや、無理です。

 ファイヤーサラマンダーは火属性の陸生両生類なんで水が苦手です。水耐性も、水魔法を持っているにも関わらず0だし。

 そうか、そう考えると、僕とリベルテは水が苦手コンビなのか。

 まぁ、わざわざ弱点を言うつもりはないし、水の中に入る必要があったら、それにふさわしい変身をしたらいいだけだしな。


「お、宝箱発見! 開けていいよな」

「いいわよ。ここにはミミックみたいな魔物はいないはずだから」

「ミミック、やっぱりいるのか」


 ザ○キとか使われたら危ないな。やっぱり魔力が上がれば死ににくくなるのかな。それとも幸運値か?

 即死魔法とかあったら困るが、そういう魔法を覚えられるのかね?


【暗黒魔法を取得するにはスキルポイントが足りません】


 あ、あるのね。

 うん、知りたくなかった。たぶん、暗黒魔法の中でも高レベルで覚えるスキルなんだろうが、暗黒魔法を使う相手がいたら逃げよう。

 即死耐性とかあるのかな?


【即死耐性を取得するにはスキルポイントが足りません】


 あ、こっちもあるのね。

 これはいつか覚えたい。

 気付いたら死んでいた、とか悲しすぎる。


「さて、中身は何かな……」


【パカっ! ヴィンデは泥団子を手に入れた】


 って、なんでやねん!

 ちなみに、今のは叡智の音声ではなく僕の心の声。


……………………………………………………

泥団子【ゴミ】 レア:なし


泥と砂、水で作った団子。きらきらに輝いている。

誰が作ったのかな? きっと子供の宝物。

……………………………………………………


 何か特別な効果があるのかと思ったら、本当にただの泥団子だし。

 子供の宝物とか言ってるけど、種類はゴミだからね。岩でさえ素材だったのに、泥団子、ゴミになってるからね。


 ただ、確かにかなり磨かれたのか、とてもきれいに輝いている。まるで金属の球みたいだ。


「わぁ、綺麗」

「欲しいならフレーズにやるよ」

「え? 本当? ありがとぉ」


 フレーズはそう言って、大事そうに泥団子を抱えていた。

 本当にこんなのが欲しいのか?


 そう思いながら、僕は探索を再開する。

 次に見つけた宝箱には花の輪っかが。


……………………………………………………

花輪【帽子】 レア:★


花と草で編んだ冠。

聖なる衣装に身を包んだ聖人が頭から被る。

……………………………………………………


 これもフレーズ行き、フレーズはうれしそうに頭につけた。

 これだと、宝箱を持って帰ったほうがいい気がするんだが、それはフレーズに止められた。

 なんでも、迷宮の中の宝箱は迷宮の中の瘴気を吸い取ってアイテムを作り出す機能があるそうだ。

 だから宝箱は持ち去ってはいけないとか。


 ちなみに、瘴気濃度が濃いと魔物が憑りつくことがある。それがミミックになるらしい。


「へぇ、フレーズって迷宮に詳しいんだな」

「ま……まぁ、当然よ」


 そうか、当然か。

 そういえば、彼女は俺よりずっと長生きしてるから、そのくらい知っていても不思議じゃないか。


……………………………………………………

四つ葉のクローバー【素材】 レア:★★


四つ葉があるクローバー。幸運の証。

出現率は1/10000。

……………………………………………………


 ……ここは花壇迷宮じゃない。子供迷宮だ。

 僕はそう思った。


「わぁい、四つ葉のクローバーだ」


 フレーズは一人で喜んでいた。


 何かおかしい。

 僕はそう思い始めていたが、それが何かは全くわからないまま、僕たちはさらに迷宮の奥へと進んでいった。

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