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花壇迷宮に到着

 迷宮についておさらいしようと思う。

 気持ちと情報の整理をしたいと思っているから。


 迷宮の壁はうっすらと光を放つため、今みたいに光の胞子によって道を照らす必要はない。

 迷宮の中では魔物が生まれ、一番奥には迷宮のボス――魔王がいる。

 魔王が死ねば、その迷宮は迷宮としての機能を失ってしまう。


 迷宮は、基本ラビスシティーという町にあるという。

 これを真迷宮と呼ぶ。


 だが、それ以外の場所にも極稀に迷宮が生まれる。異常な迷宮。

 あってはならないもの、そう言っていた。

 そういう迷宮の存在は、世界の調和を乱すという。だから、アルモニーはそんな迷宮を壊して回るという。


 そして、僕たちが今から行くのもその異常な迷宮だ。


 つまり、アルモニーが襲来してきてもおかしくはない。

 んー、ただ、幸いというか、僕たちは結構地下深くまで降りていた。

 これだけ地下が深ければ見つかる可能性は少ないか。


「……見えてきたな」


 ヒカルンダケとは違う光。

 懐かしいな、久しぶりだ。

 この光を感じるのは3回目。


 1回目は、僕がこの世界に初めて来た時。ブラックバスとしてこの世に転生――いや、正確には転生された後に召喚された時にいた場所。

 あそここそが、ラビスシティーの真迷宮だったのだろう。


 そして、2回目はフォーカスのいた迷宮。入口をピエールクラブやロッシュクラブが守り、中には多くの魚の魔物がいた。

 フォーカスが死んで、崩落――すでにその存在はなくなってしまった。


 そして、今回。

 3回目の迷宮探索となるわけだが。


「着いたわ」


 フレーズが言った。

 あぁ、着いたな。そこは、花畑だった。

 迷宮の光は、植物が光合成を行うには十分な光量なんだろう。実際、海底迷宮にも海草は生えていたしな。

 海底迷宮……正確には海底迷宮D。


 そうだ、迷宮には名前があった。

 僕はとりあえずマッピングで確認する。


 花壇迷宮――そう出た。

 花壇迷宮って、確かにこの花を見ていると花壇という気にもなるが。

 花がいっぱいある。花の匂いが充満している。

 ここでなら、嗅覚強化のレベルアップも考えられるな。


「魔物は全部倒していいんだな」

「ええ、大丈夫よ。でも、燃やさないでね」


 あぁ、燃やさない。こんなところで火を付けたら一酸化炭素中毒になりかねない。

 まぁ、フレーズがそう頼む理由は、花を傷つけないためだろうが。

 なので、ここは一つ。


「毎度おなじみ土針アースニードル! 土針アースニードル! 土針アースニードル! 土針アースニードル! 土針アースニードル! 土針アースニードル!」


 僕の魔法により、離れた場所にいる花を土の槍が貫く。


【経験値3取得】

【経験値3取得】

【経験値3取得】

【経験値3取得】

【経験値3取得】

【経験値3取得】


 花に擬態した魔物「フラフラワー」を6体撃破。

 遠目からは――いや、近くで見ても、花にしか見えないと思う。

 だが、僕のステータス把握スキル、そして索敵スキルをもってすればどれが敵かどうかなんてわからないことはない。

 まぁ、サイモンみたいに隠形スキルがあれば別だが、それでもステータス把握はできるからな。


 花を食べて捕食によるステータスを得たいところだが、最近毒のあるキノコばかり見ていたからな。

 毒とか……ないよな?


 ま、毒でも治療できるから食べるか。


【スキル:“捕食”の効果により経験値15獲得】


 んー、ヘルシー。状態異常にはならないようだ。

 肉ばっかり食べていたからな。キノコを食べた時は味よりも暗闇になったことに驚いたからなぁ。

 花をそのまま食べるのは初めての経験だが、仄かな甘みがあっておいしいな。人間になっても食べてみようか。

 でもノーチェの前で花を食べるのはやめたほうがいいか。彼女は花を食べると言うよりかは愛でる感じだし。

 あ、もちろん、それは僕の願望ではあって、ノーチェが花を食べる少女であっても失望したりはしないよ。

 むしろ、新たな一面が見れたことに喜ぶね、うん。


「リベルテもフレーズも食べていいぞ」

「私は花なんて食べないわよ」

「そうなのか?」

「うん、私は蜜を集めるだけよ」


 そう言って、フレーズは小さな小瓶を持って、花の蕾を見つめ、何か魔法のようなものを唱える。

 小さい声で聞こえないが、僕の知ってる魔法じゃない。


「これは妖精魔法よ」


 そう説明してくれた。

 そして、一滴の蜜が瓶の中に零れ落ちる。


「……もしかして、こうして蜜を集めるのか?」

「そうよ」

「めっちゃ大変じゃないか!」

「えぇ、とても大変よ。あんたがさっき飲んだ1杯の蜜でも、集めようと思ったら10日はかかるわね」


 だとすれば、リベルテが飲んだ蜜を集めようと思えば、どのくらい時間がかかるのか?

 金貨1枚といってぼったくりだと思った、金貨10枚と言って、何言ってるんだこいつと思った。

 だが、それでもそれだけの価値があるんじゃないか。


「す、すまない」

「気にしてないって言ったらウソになるけど、その分働いてもらうわ」

 

 ますます逃げにくくなったな。

 でもまぁ、できるところまでやってみようかね。

 とりあえず、フラフラワーを食べつくしてから――そう思ったら、すでにリベルテが5匹完食していた。

 うん、食べていいと言った僕が悪かった。


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