リベルテが見せた忠義の証
ステータスを見る。見る。見る。見る。
……………………………………
名前:リベルテ
種族:グリーンスライム(ダブル)
レベル:3
忠誠度:79
HP 16/16
MP 1/1
状態:土属性
スキルポイント4
……………………………………
んー、レベルが上がらない。
リベルテのレベルが上がらないと言っているのではない、ステータス把握のレベルが上がらない。
レベル2になるには、自分のステータスを何度か見るだけでよかったし、レベル3になった時はアロエが仲間になったときにステータスを見ただけでよかった。
なら、レベル4になるにはどうしたらいいのか。
ちなみに、麻痺状態になったけれど、リベルテは普通に動き、土を食べると状態が再び土属性に変わった。
もう一度リベルテのステータスを見る。
……………………………………
名前:リベルテ
種族:グリーンスライム(ダブル)
レベル:3
忠誠度:79
HP 16/16
MP 1/1
状態:土属性
スキルポイント0
……………………………………
やっぱりスキルレベルが上がらない。
あれ?
……あれ?
リベルテのスキルポイントが0になってる!?
こいつ、僕の指示なくスキルを覚えたっ!?
なんで!? 叡智スキルがないとスキルって覚えられないんじゃないの?
少なくともリベルテは記憶喪失じゃないから、僕と同じ方法では叡智は取得していないはず。
アロエは僕の指示がないとスキルポイントを消費してスキルを覚えるなんてできなかったのに。
……いや、まぁ叡智がなくても、確実にスキルが覚えられるとわかっていたら覚えられるのか……な?
さて、どうしたものか。
現在、スキルは37個ある。
あと3個増やしたら40個になり、スキル鑑定レベルが5にあがるはずだ。
そうしたら、ステータス把握のレベルアップ条件がわかる。
つまり、適当にいらないスキルを3つ覚えてもいいわけだが。
スキルポイントは無限にあるというわけではないしな。ここはひとつ、自力で称号を手に入れて、スキルを入手する。
もしくは変身してレベルMAXにしてスキルを取得する。
どちらかになる。
幸い、アルビノ種のサンライオンの死体がまだアイテムBOXの中に収納されている。
これを食べれば、一気にレベルアップは可能だ。
……まぁ、とりあえずは腹ごしらえしてから考えるか。
んー、真横の木の上に甘そうな赤い果物が実っている。
そういえば、海の中じゃ果物とか食べれなかったな。
よし、とってくるか。
「今から果物取ってくるから、リベルテは下で受け止めてくれ」
僕がそう言うと、リベルテは身体を震わせた。肯定ってことでいいのかな。
それにしてもこの身体、垂直な壁や木でも簡単に登っていけるな。
枝の強度を確認しながら、枝を進む。ここまで来ると、果物の甘い匂いがよくわかる。
そして、尻尾で蔓をねじ切り、果実を落とした。
リベルテはその果物の真下に移動する。
よし、ナイスキャッチ!
――って食うなよっ!
果物はリベルテが身体でキャッチすると、そのまま身体の中に取り込んだ。
嬉しそうに飛び跳ねている。
まぁ、スライムの身体なら木を登るのは可能だろうけど、細い枝を進むのとか面倒そうだ。
普通に落ちてしまうだろうからな。なら果物を食べたことはなかったのかもしれない。
仕方ない、僕の分はアイテムBOXに収納して、リベルテが食べる分だけ下に落とそう。
まるで猿蟹合戦の猿になったみたいだけれど、あの話にこんなに優しい猿は絶対にいないぞ。
幸いというか、この木には果物がたわわに実っている。
これだけあれば、当分果物には困らないくらい。
リベルテには果実を20個食べさせ、アイテムBOXに20個収納。木の上で僕も1個食べてみたが、リンゴのような見た目で、味はイチジクに似ている。
かなり甘く、これなら砂糖を加えなくてもジャムとか作れそうだ。
ついでに、木の天辺まで行って、辺りを見回してくるか。
そう思い、僕は木のてっぺんを目指した。幸い、この樹はそこそこでかいからな。
すると――
【称号:木登り手習いを取得した】
【スキル:軟着陸を取得した】
おぉ、ラッキー。期せずして称号とスキルGET!
【木登り手習い:10メートル級の木を登り切った:軟着陸入手orレベルアップ】
軟着陸は、地面に叩きつけられた時のダメージを軽減するというパッシブスキルらしい。
ちなみに、レベル2になる条件は5メートル地点から飛び降りることらしいから、半分くらい降りたところで、地面に向かって飛び降りた。
【軟着陸のレベルが2に上がった】
衝撃は全く来なかった。
軟着陸の効果にしては大地が柔らかすぎる。
そして、僕はその理由を知っていた。
「あ、ありがとうな、リベルテ」
リベルテが下で受け止めてくれていたのを知っていた。
忠誠の片鱗を見せたことのないリベルテがまさに身を挺して僕を助けてくれたのは素直にうれしいのだが――果汁でねちょねちょしていて、かなり気持ち悪かった。
あと、食べられるんじゃないかと少し不安だったが、流石にそこまでリベルテは自由スライムじゃなかった。
……軟着陸のレベルアップ条件は次は10メートルの高さからの飛び降りか。
流石にきついが……やってみるか。
「リベルテ、受け止めなくて大丈夫だからな」
もちろん、普通にしたら僕にも大ダメージが襲ってくるだろうが、作戦はある。
木を登って行き、僕をすっぽり覆うくらいの泡を展開。
泡はゆっくりと降下を始め、僕はその中に入る。
突如泡は急速に落ち始めるが、
「微風!」
風の力でできる限り落下速度を軽減!
さらに、泡! 泡! 泡!
薄い泡を前に設置。
泡に包まれてさらに落下速度が下がる。
最後に、火の息を下方向に吹き出し、逆噴射!
そして、3メートルくらいの地点で、全てのスキルを停止。
あとは軟着陸の効果も確かめたいからな。
どのくらい痛いか確認を――
【軟着陸のレベルが3に上がった】
「あ、ありがとうな、リベルテ」
することはできなかった。リベルテがまたも助けてくれた。
僕の体は果汁でさらにねちょねちょになった。
その後、水球でリベルテの身体と僕自身を綺麗に洗ったけど、暫くの間、体からずっと甘い香りがした。
軟着陸のレベルが4になるには、もっと高いところから飛び降りたらよさそうな気がするが、今度にしよう。




