表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/171

ターゲット捕捉! お前をいつか倒してやる!

 とりあえず、僕は縦穴の底で落ちてくる石蟹を食べていた。

 上で岩蟹が暴れているのだろう、石蟹がどんどん落ちてくる。


 それにしても、あいつの強さはどのくらいなんだろうか?

 相手のステータスを見るスキルってあるのかな?

 覚えられるか?


【“ステータス把握”はすでに取得済みです】


 ……ん? もしかして、ステータス把握で敵のステータスを見れるのか?

 とりあえず、落ちてくる石蟹を一匹そのままにして、ステータスが見れないか凝視してみる。


 ……うん、無理だ。パク、ボリ、ボリ。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【****のレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】


 よし、レベル6になった!


……………………………………

名前:****

種族:ブラックバス

レベル:6


HP 10/10

MP 3/3

状態:記憶喪失

スキルポイント8


攻撃 9

防御 6

速度 7

魔力 2

幸運 20


スキル:【捕食:Lv1】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv1】【ステータス把握:Lv1】【スキル鑑定:Lv1】【索敵:Lv1】【泡:Lv1】

称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】

……………………………………


【ステータス把握レベルが2に上がった】


 ん?


……………………………………

名前:****

種族:ブラックバス

レベル:6


HP 10/10

MP 3/3

状態:記憶喪失

スキルポイント8


攻撃 9

防御 6

速度 7

魔力 2

幸運 20


スキル:【捕食:Lv1】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv1】【ステータス把握:Lv2】【スキル鑑定:Lv1】【索敵:Lv1】【泡:Lv1】

称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】

……………………………………


 おぉ、スキルレベルが上がっていた。

 ただし、なんの変化もない。

 でも、なんで上がったんだ?

 ……あ、もしかしてステータスを表示した回数でレベルが上がったのかな。


 これなら……


 次に落ちてくる石蟹を凝視。


【ピエールクラブ:HP1/1】


 おぉ、種族名とHPがわかるようになった。

 ピエールか。なんかどこかの騎士みたいな名前だな。


 いただきます。むしゃむしゃ。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】


 ピエールというと、なんだか上品な味に思えてくるな。

 うん、蟹は高級料理だしな。


 さて、スキルポイントも8あるんだし、何かスキルを覚えようか。

 あの岩蟹に見つからないように進むために、「忍び足」みたいなスキルを覚えるか?


【足がないため、忍び足は取得できません】


 ……うん、そうだよね。じゃあ、剣術みたいな攻撃系スキルでも……


【手がないため、剣術は取得できません】


 わかってますよ。冗談です。

 やっぱり魔法かなぁ。でも、水の中だと火は使えないし、雷だと僕も感電する。氷なんて使ったら冬眠してしまうな。

 となれば――土魔法かな?


【声が出ないため、土魔法は取得できません】


 ……なんで僕、魚に転生したんだよ。


 ま、暫くは食事にも困らないからスキルに関してはゆっくり考えたい。

 でも、本当は時間はあまりないんだよな。




 あれから三日が経った。

 時間がない理由がここにあった。


 ……卵が、僕の子供が孵化した。


【称号:子持ちを取得した】

【スキル:献身を取得した】


 あぁ、やっぱり僕の子だったのか。あと、スキルも手に入った。


 300はあった卵のうち、4割が孵化した。

 ブラックバスの稚魚が次々と卵から出て来た。


【称号:子沢山を取得した】


 6割は……卵のまま残っているが、これから孵化するのか、それともこのままなのか。

 本当に……時間がない。



……………………………………

名前:****

種族:ブラックバス

レベル:8


HP 15/15

MP 5/5

状態:記憶喪失

スキルポイント12


攻撃 11

防御 8

速度 9

魔力 4

幸運 20


スキル:【捕食:Lv1】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv1】【ステータス把握:Lv2】【スキル鑑定:Lv1】【索敵:Lv1】【泡:Lv1】【献身:Lv1】

称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】【子持ち】【子沢山】

……………………………………


 どうして時間がないか?

 その理由は、稚魚の巣立ちだ。

 稚魚が独り立ちしたら、確実にピエールクラブの巣に行くことになる。すると、どうなるのか?

 もちろん、稚魚が岩蟹に食べられてしまう。わかりきっている。


 かといえ、じっとここにいるわけにもいかない。餌も場所も有限なんだ。

 こんな狭い空間にブラックバスを閉じ込めてみろ。自然の摂理に反するこの過密さのせいで、共食いが始まってしまう。


 子供同士が食べ合うのを見るのも、子供に襲われるのも御免被る。


 ならば、手段は二つ。


 子供たちとともに、幾匹か、下手したら数十匹の子供の犠牲を覚悟してピエールクラブの巣を通過する。

 もしくは、あの岩蟹をぶっ殺す。


 僕は後者を選びたい。

 そのために僕は力を得ないといけない。


【スキルポイントを3支払い、硬い鱗を取得しますか?】


 まずは防御UP。


【スキル:硬い鱗を取得した】


 すると、思った通り、防御が一気に5も増えた。


【スキルポイントを3支払い、鋭い歯を取得しますか?】


 次に攻撃UP。


【スキル:鋭い歯を取得した】

【称号:スキル収集家見習いを取得した】

【スキル鑑定レベルが2に上がった】


 お、スキルを10個覚えたためか、称号を覚え、スキル鑑定のレベルが2に上がった。

 あと、攻撃が5増えた。


 スキル鑑定レベル2では、スキルの効果説明がわかるようだ。


【捕食:倒した相手を食べることで経験値を取得する】

【言語理解:様々な言語で会話、筆談ができるようになる】

【叡智:システムメッセージを聞くことができる】

【ステータス把握:ステータスを見ることができる】

【スキル鑑定:スキルを調べることができる】

【索敵:敵の位置がわかるようになる】

【泡:MPを消費して泡を出す】

【献身:HPを消費して、対象のHPかMPを回復させる】

【硬い鱗:防御力が上がる】

【鋭い歯:攻撃力が上がる】


 簡単な情報しかわからないな。スキルレベルが上がれば、もっと詳しい情報を手に入れられるのだろうか?

 叡智が言うシステムメッセージとは、【経験値を~】とか【スキルポイントを支払~】とかのメッセージのことなのか?

 もしそうなら、記憶喪失でよかった。叡智がなかったらスキルポイントの使い方とかわからなかったよ。


 とりあえず、攻撃と防御の手段は手に入れた。というか強化しただけだけど。

 行くか。


 僕は恐る恐る、縦穴の真下にたどり着く。

 途中でピエールクラブを食べて、登っていく。

 そして、空間に出た。

 奥に、あいつがいるんだろうな。


 今日は様子見だ。あいつが来るまでに、まずは――


 うん、いただきます。

 僕は床にこびりついていたピエールクラブを食べた。

 食べに食べに食べまくった。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】


 レベルは未だ上がらない!


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】


 でも、歯が鋭くなったためか、前まで硬い煎餅を食べていたような気分の石蟹が、麩菓子をたべているみたいにさくさく食べれる。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【****のレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】


 よし、レベルアップきた!

 でもまだ食べ続け――られない!


 来た、あの巨大な岩蟹が!


【ロッシュクラブ:HP50/50】


 やばい、HPが僕の倍以上はある!


 僕は身体を回転させ、近くにいたピエールクラブを穴の中に落としてから自分も穴の中に入っていった。

 今日はこのくらいにしておいてやる!


 でも、見ていろ、ロッシュクラブ! お前の名前とHPは覚えたからな!

 とりあえず、僕が落としたピエールクラブを食べながら、奴を倒すための手段を模索した。


 げぷっ……でも今日はお腹いっぱいだから帰る。


 流石に食べすぎた。

 残りのピエールクラブはかみ砕いて、子供たちの餌にしよう。


 ……もう、あの手段しかないか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ