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蟹パーティーの誘惑

 とりあえず、周りの状況を見る。

 小さな虫のようなものが漂っている。

 ……パクリ。

 うん、不味い。


 あと、虫では経験値はもらえなかった。残念。

 というか、虫を食べることに抵抗のない自分が悲しい。


 とりあえず、ここは狭く、ため池のような場所らしい。他に魚はいないようだ。

 ただ、虫のような微生物は漂っているので、この卵が孵化しても暫くは餌には困らないだろう。


 さっきの雌ブラックバスは横穴から外に出たらしい。

 そういえば、ブラックバスって子育ては父親がするんだっけか?


 ……ま、ここなら大丈夫だろう。

 僕はそう思い、横穴に入っていく。横穴のなかも壁が淡い光を放っているので助かるなぁ。

 隠れるときには不便だけど。

 もしも一本道ではなく、枝分かれする道があれば、やっぱり卵が心配のため引き返すことも視野にいれないといけない、そう思っていたが、一本道が続いた。

 徐々にだが、上がっている感覚だ。

 もしかして、僕がいたのはどこかの地下洞窟だったのだろうか?


 ……不安だな。急に凶暴な魚とかがいたらどうしよう。

 せめて、敵の位置がわかったらいいのに。


【スキルポイントを3支払い、索敵を取得しますか?】


 ……索敵か。

 残りのスキルポイントを全て使ってしまう勢いだ。

 これはあったほうがいいよな。生き残るためにも、餌を探すためにも。

 よし、YESだ!


【スキル:索敵を取得した】


 そのメッセージとともに、突如、理解した。


 囲まれている!?


 でも、一体、どこに!?


 ……この石?


 僕は口先で水の底に落ちているような小石をつついた。

 すると、小石はひっくりかえり、その裏に腹が見えた。


 ……これ、石じゃないぞ! 蟹が石に擬態しているんだ!


 ということでいただきます!


 うん、硬いが、噛み切れる硬さだ。むしろ、カルシウム豊富でいいよな。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】


 おぉ、これはいい。てか、このあたり、蟹天国じゃないか!

 とりあえず、石蟹と名付けよう!

 殻は硬いが、腹は柔らかい。


 僕は索敵スキルを頼りに、石蟹を食べていった。

 3匹目を食べたところで、


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【****のレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】


 よし、レベルアップ!


……………………………………

名前:****

種族:ブラックバス

レベル:3


HP 7/7

MP 0/0

状態:記憶喪失

スキルポイント2


攻撃 5

防御 3

速度 4

魔力 0

幸運 20


スキル:【捕食:Lv1】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv1】【ステータス把握:Lv1】【スキル鑑定:Lv1】【索敵:Lv1】

称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】

……………………………………


 あぁ、1しか上がっていないのか。でも、スキルポイントが2上がったのは助かる。

 それにしても石蟹は弱いなぁ。こいつらは確実に喰われる側の生物だ。しかし、こいつらは一体何を食べて生活を――


 ヤバ!


 僕は猛ダッシュで元来た道を引き返していった。


 そして、そこで目にしたのは、卵を食べている石蟹だった。

 くそっ、油断した!


 こいつら、最初からここにいて、僕がいなくなるのを待ってたのか!

 卵を小さな爪で刻んで口に運ぼうとする石蟹たちに僕は大きな口を広げて襲い掛かった。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】


 石蟹を三匹を食べ、当面の危機は去った。

 だが、卵の数がさっきより僅かに減っている。

 ……油断した。


 僕がもっと早く気付いたら、すくなくともさっきの卵は無事だっただろう。

 とにかく、安全確保のために、このあたりの石蟹は全部食べてしまおう。


 横穴の天井に、横壁に、地面にこびりついている石蟹を食べることには成功したが、蟹って地上でも生活できるからな。

 索敵スキルによると、穴の外にも石蟹がいるのだろう。

 このままだと、おちおち外に出られな――ん?


 池の横を何かが通った。

 ……犬?


 索敵スキルでも何かが動いているのはわかるが、それが何なのかは全くわからない。


 そのなにかは、この池の周りにある石蟹を運んでいるようで、次々と敵の気配がなくなっていく。

 僕はそっと池から顔を出した。


 ……そこにいたのは、服を着た二本足で歩く犬だった。


 知っている。ファンタジー小説などでよく出てくる服を着た二本足の犬……コボルトだった。

 手には石蟹が入っている。


(本当に、ここは異世界なんだな)


 とりあえず、このあたりの石蟹の危機は去り、僕は通路の石蟹駆除に取り掛かった。

 レベルが4になっても石蟹を食べ続けた、その結果。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【称号:蟹の天敵を取得した】

【スキル:泡を取得した】


 おぉ、また称号GET。

 確かに、これだけ食べたら天敵扱いされても仕方ないよな。

 でも、泡ってどんなスキルなんだろ?


 泡……泡……泡……!


【MPが足りません】


 あ、そうですか。


……………………………………

名前:****

種族:ブラックバス

レベル:4


HP 8/8

MP 0/0

状態:記憶喪失

スキルポイント4


攻撃 7

防御 4

速度 5

魔力 0

幸運 20


スキル:【捕食:Lv1】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv1】【ステータス把握:Lv1】【スキル鑑定:Lv1】【索敵:Lv1】【泡:Lv1】

称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】

……………………………………


 あ、でも攻撃がレベル4になったときより1増えてる。

 称号でもステータスが増加することがあるのかな。もしかしたら、捕食者の称号でも攻撃が上がっていたのかもしれない。

 それにしても、腹がいっぱいになった。


 そろそろ寝るか。

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