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神様からのアドバイス

 ブルーギルは僕よりもはるかに小さい。

 ということで、突撃! 尾びれを動かす。うぉ、ものすごい速度が出た!

 ブルーギルはとっさに避ける。僕に襲い掛かってくる様子はない。

 やば、なんだこれ、楽しい!


 バトルが始まるかと思ったら、始まったのは一方的な捕食だった。

 まぁ、ブラックバスとブルーギルじゃ仕方ないのかもしれない。

 大きさが倍以上違うから。


 三度目の突撃で、ブルーギルの尾びれに噛みつくことに成功した僕。

 そして、一度口を開いて丸のみ。


 ブラックバスVSブルーギルの戦いは、僕の圧勝だった。

 あぁ、お腹いっぱい。小骨が喉に引っ掛かったけど。


【経験値1獲得】

【スキル:“捕食”の効果により経験値1獲得】

【称号:捕食者を取得した】


 ……え? 経験値?

 ますますゲームの世界だ。

 称号も手に入れたけど、スキルは覚えなかった。

 謎だ。


【****のレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】


 ……あぁ、やっぱりゲームみたいだ。

 ステータスが上がっても、どれだけ強くなったのか理解できない。

 スキルポイント? スキルに割り振るポイント? それともスキルを覚えるポイント?

 全部説明してくれるスキルとかあるのかな?


【全知を取得するにはスキルポイントが足りません】


 ……よし、わかった。

 これはやっぱりスキルポイントは、スキルを覚えるためのポイントだ!

 ならば、


【人化の術を取得するにはスキルポイントが足りません】


 やっぱりダメだよな。人間になりたいと思ったんだけど。

 僕のスキルポイントっていくつあるんだろ?


【スキルポイントを1支払い、ステータス把握を取得しますか?】


 あ、これは覚えられるらしい。ステータス把握って、HPとか状態とかいろいろと把握できそうだよな。

 取得しておいて損はないと思う。

 YESだ!


【スキル:ステータス把握を取得した】


 敵を知り、己を知れば百戦危うからずだ。

 まずは自分を知ろう。

 ということで、ステータスオープン!


……………………………………

名前:****

種族:ブラックバス

レベル:2


HP 6/6

MP 0/0

状態:記憶喪失

スキルポイント4


攻撃 4

防御 2

速度 3

魔力 0

幸運 20


スキル:【捕食:Lv1】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv1】【ステータス把握:Lv1】

称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】

……………………………………


 弱っ!

 思わずそう叫びたくなったが、言葉を発することができない。

 あと、やっぱり種族はブラックバスなのか。

 スキルが4つあり、称号も4つある。

 スキルの意味だけでも理解したいな。


【スキルポイントを1支払い、スキル鑑定を取得しますか?】


 これでスキルポイントが残り3になる。

 正直、心許ないな。でも、仕方ない。


【スキル:スキル鑑定を取得した】


 よし、これでスキルの意味がわかるはず!


……………………………………………………

捕食:Lv1


レベルアップ条件:鑑定レベルが足りません。

効果説明:鑑定レベルが足りません。

……………………………………………………


 ……使えない!

 なんだよ、これ! 鑑定レベルが足りないだと!

 名前は最初からわかってるんだよっ!


 ……ぐっ、無駄にスキルポイントを使ってしまった。


 でも、まぁ、捕食は、たぶん捕まえて食べたら経験値がもらえるスキルってことだと思う。

 言語理解は、きっと言葉を理解できるんだろうな。叡智がちょっと意味がわからない。

 それに、スキル鑑定スキルも、レベルが上がれば、どうやったらスキルのレベルを上げたらいいかわかるんだから、便利かもしれない。

 うん、これは先行投資だと思っておこう。


 さて、今からどうするか。

 僕はあたりをみまわした。

 下には魚卵。

 上は外の世界が広がっている。

 ……えい、一か八か!


 僕は泳いであがっていき、水面から顔を出して――


 く、苦しい!


 思わず水の中に戻った。

 よく、餌を求めてる鯉が水から顔を出していたが、あいつら、こんな苦しい思いをして餌を求めていたのか。

 人間に戻れたら100円の鯉の餌を1万円札で買ってばら撒いてやりたい。


 とりあえず、僕には肺呼吸の機能はないらしい。


【スキルポイントを2支払い、肺呼吸を取得しますか?】


 Noだ! 魚の状態なら、地上で呼吸できても跳ねるしかできなくなる。


 とりあえず、今は水の中で様子を見るしかない。

 ……さっき見た感じ、外は洞窟の中だった。壁全体がうっすら輝いている。ヒカリゴケでも付いているのだろうか?

 そういえば、称号のなかに「異世界魚」とあった。

 もしかして、ここは地球ではなく異世界なのでは?


『うん、その通りだよ、そこは日本ではないよ』


 誰だ! 若い男性の声が聞こえたが、姿は見えない。


『ていうか、なんでそんなところに堕ちてるの?』


 知らないよっ! 気付いたら、この水の中に落ちてたんだ。


『そういう意味じゃないんだけどね。まぁいいや。それより、君にお願いがあるんだ』


 お願いって、その前にあんた誰だよ! 姿を見せろよっ!


『いや、無理。地球ならいいんだけどさ、そっちは私の領域外なんだよね。あ、自己紹介をするなら、私は神様だよ』


 神様? もしかして、霊感商法?

 すみません、壺は買いません。お金どころか財布も持ってないし、契約しようにも拇印を押すにも指がありません。

 魚拓は勘弁してください。


『本当だって。君を魚の姿に転生させたのも私だからね。最初から成魚なのもサービスなんだけどさ。稚魚のまま死なれたら困るし。まぁ、そんなことしたせいで、自我が芽生えるまでタイムラグがあったかもしれないけど』


 え? あんたが原因か! 神様だろうと許さないぞ!


『まぁ、落ち着いてって。君は死んだんだよ。不慮の事故って奴で。で、DTのまま死ぬなんてかわいそうだから、魚として生き返らせてあげたの』


 ……DTのままって言うな!

 でも、ありがとうございます! でいいのか?


『うん、素直なのはいいね。でさ、君には一つ、ブラックドラゴンを目指してほしいんだ!』


 え? いま、なんと?


『友達の神様とね、鯉は本当に龍になれるのか? って勝負をしてね、私は龍になれるほうに賭けたんだ』


 ……いや、無理でしょ!

 そもそも、ブラックバスは鯉じゃないし!


『いやいや、為せば成るよ! そもそも、全ての脊椎動物は魚から進化したんだよ? なら、魚である君が両生類に、爬虫類になって、ドラゴンになるくらい』


 あぁ、できるかもねー……ってなるかい! そもそも、進化ってのは、子供の突然変異の繰り返しだろ! 一代で魚がカエルになってトカゲになって恐竜になんてならないよ!


『そうでもないよ? オボコって魚は成長すると、スバシリに進化して、イナに進化して、さらにボラに――』


 進化じゃねぇ! それはただの出世魚だ! 呼び名が変わっているだけ!

 とどのつまり、魚は竜にはなれません!


『ははは、博学だね。そうそう、ボラは最後にトドになるから、トドのつまりか』


 解説しないでください。とどのつまりの言葉の由来をひけらかすために使ったんじゃありませんから。

 そもそも、龍はドラゴンじゃないよな? 龍は和風の足のあるヘビのような架空の生き物で、同じ架空の生き物でもドラゴンとは別物だろ?


 和風が龍で洋風がドラゴンじゃないの?


『そのあたりは根性で! とりあえず、レベルが上がれば進化できるようにしておいたから、頑張って! もしもブラックドラゴンになれたらご褒美あげるからさ』


 あ、ちょっと、ちょっと待てよっ!


 ……ええと、待ってください?


 本当に? 本当にいなくなったの?


 ……えっと、つまり、僕は竜になるために生まれ変わったってこと?

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