森のアウトドア
「よし、いいぞ、リベルテっ!」
リベルテが猪を追い立てている。
いくら猪とはいえ野生の獣――火は怖い。しかも動く火とすればそれは猶更。
リベルテは燃える体のスキルを使い、体の上半分を燃やしながら巨大猪を追いかけた。
そして、僕の方向へと誘導してくる。
「土針っ!」
僕の魔法が猪の体を貫いた。
【経験値28獲得、次レベルまで残り経験値28565】
……経験値低いなぁ。
大きさの割に大した強さではなかったし、こんなものかな?
リベルテは僕が倒した猪をポンポンと叩くと、僕をじっと見る。
僕はリベルテの希望通り、猪をアイテムBOXに入れた。
リベルテは最近グルメを覚え、肉は焼いて食べるということを覚えたようだ。
僕たちは現在、森を真っ直ぐ北北東へと進んでいる。
赤土の荒野では数少ない森だけあって、野生の動物も多いので、食料も大分貯まってきた。
「ヴィンデさーん、リベルテちゃーん、ご飯の準備ができてますよっ!」
僕が作った即席の土壁の小屋の前でノーチェが手を振って僕たちを出迎えた。
僕としては、ノーチェにこんなサバイバル生活みたいなことをさせてしまって申し訳ない。せめて食べ物だけは困らせないようにしようと最初は思ったが、まず第一にノーチェはお肉があんまり好きじゃない。第二にノーチェはエルフだから森の中の生活にとても慣れている。木登りもお手の物だ。
その結果、
「果物もいっぱい採れましたよ」
ノーチェの傍らには果物が大量に詰まった蔦のカゴが置かれていた。
その横の竈では、網の上に肉が焼かれている。
「ノーチェ、ごめんな。動物の解体なんてさせて」
「いいんです。リベルテちゃんが言っていましたから。『食べることは命を繋ぐこと。それは善でもなければ悪でもない。君は動物を食べることを命を奪っていると思っているが、私は命を繋いでいるんだ』って」
「リベルテがそんなことをね……」
かなりノーチェの意訳が入っているだろうが。
ノーチェはリベルテの言いたいことがかなり明確にわかるそうだ。
リベルテのその台詞、ただ単純にノーチェをうまいこと言いくるめて美味しい肉を食べたいだけのような気もするが。
でも、そのお陰で、僕もノーチェの前で堂々と肉が食べられるようになった。
そこだけはリベルテに感謝しないといけないよな。
「いただきます」
僕は合掌して、あいさつした。
「いただきます……そういえば、このいただきますって言葉も、大切な命をいただいて私は生きていきます……って意味なんですよね?」
「そうだよ」
僕は頷いて、肉を掴んで食べる。
リベルテは当然だけど合掌せずに肉を食べていた。肉だけでない、持って来ていたパンやノーチェが摘んだ果物などバランスよく食べている。
【称号:アウトドア派を取得した】
【スキル:毒物鑑定を取得した】
ん? おぉ、称号とスキルをGETした。
えっと、この称号は外で作った料理を食べた回数と割合で手に入る称号なんだそうだ。
そういえば、僕って屋内で料理を食べることなんて滅多にないからな。割合は相当多いだろう。毒物鑑定は、その名の通り目の前の物に毒物が使われているかどうか調べるスキルらしい。
当然、ノーチェの料理に毒が使われているわけがないので僕は気にせずに食べる。
「うん、美味しい」
「よかったです。あ、そういえば森の中で不思議な洞窟を見つけたんですけど」
「洞窟? 迷宮じゃなくて?」
「はい、魔物の気配はしなかったので、迷宮ではなく洞窟ですね。ただし、ちょっと人が手を加えたような跡があって、もしかしたら古代の遺跡じゃないかと思ってるんですよ」
「古代遺跡……そんなものがあるのか。ちょっと気になるね」
「よし、近くにいってみようか。僕のマッピングスキルがあれば、その洞窟に名前があるのかどうかとか、どんな規模かとか大体わかるし」
「はいっ! じゃあ食事が終わったら行きましょうね」
洞窟探検か。
まぁ、マッピング程度なら危険もないだろうし、ちょっと楽しみだね。




