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リベルテの新スキル

 僕とノーチェは、穴の底で食べられていくサボテンたちをただじっと見ていた。

 まさにリベルテ無双が繰り広げられている。

「あの、ヴィンデさん。あのスライムさんがヴィンデさんの言っていたリベルテさんですか?」

「うん、そうなんだよ……なんでこんなところにいるのかはわからないけど、治療は終わったみたいだね。核もふたつあるし」

 索敵による気配の色も仲間を示す青色だから、リベルテのそっくりさんということはあり得ない。

 何より、あの喰いっぷりは絶対リベルテだ。

「あの暴れサボテン、ヴィンデさんの毒を浴びているんですよね? そんな状態のサボテンを食べてお腹を壊したりはりないんですか?」

「普通ならお腹を壊す程度じゃ済まないんだけどね、リベルテだから大丈夫だよ」

 リベルテには暴食という名前のスキルがある。

 暴食があれば、食事による状態異常になってもデバフ効果を受けない。毒になってもHPが減ることはないし、麻痺になっても自由に動ける。


 リベルテは本当に自由な奴だった。僕とは闘技場で知り合った。彼がいなかったら僕は死んでいたかもしれない。

 その後も森の中をふたりで歩き回ったんだけど、ある日リベルテのふたつあるうちのひとつの核が潰されてしまい、それを治療するために僕の最初の仲間のアロエとアトランティスの管理機械のアトラスに預けた。治療には半年かかると言われていたので半年経った頃に迎えにいくはずだったが、どうしてここにいるのだろうか?


「あれ? ヴィンデさん、そこに何か羊皮紙が落ちていますよ」

「羊皮紙?」

 さっきまでそんなものはなかったと思うが、と紙を拾い上げた。

 それは手紙だった。

「見たことのない文字ですね」

「あぁ、これはアトラスからの手紙だ。リベルテが運んできたんだな……よく食べられなかったな」

 なんでも食べるリベルテの消化液にかかれば、羊皮紙も栄養源になりそうなのだが。

『預かっておったリベルテの治療は終わったぞ。それと同時に食料も尽きた。この羊皮紙を無事に運び届けたら大量に食事を貰えると伝えているから、そっちに着いたらうまい飯でも食わせてあげて欲しい。追伸、アロエはエンジェルフィッシュに進化したぞ』

 エンジェルフィッシュって、普通に熱帯魚みたいな名前だな。

 でもアロエも元気でやっているのか……また会いにいきたいな。


 リベルテはきっと、このサボテンが僕が用意したご馳走だと思っているんだろう。

 ってあれ? リベルテのファイヤースライムの頃と同じ赤い色だけれども、同じ赤でも何か今は光っている気がする。

 もしかして進化したのだろうか?

 リベルテのステータスを見ることにした。


……………………………………

名前:リベルテ

種族:ルビースライム(ダブル)

レベル:15

忠誠度:34


HP 1582/1582

MP 130/130

状態:腐毒

スキルポイント42


攻撃 132

防御 155

速度 192

魔力 204

幸運 50

経験値補正+20%


スキル:【感覚強化:Lv4】【体当たり:Lv2】【暴食:Lv7】【胃拡張:Lv4】【消化促進:Lv3】【毒攻撃:Lv1】【麻痺攻撃:Lv1】【混乱攻撃:Lv1】【暗闇持ち:Lv1】【睡眠攻撃:Lv1】【忠義:Lv1】【味覚強化:Lv1】【胞子飛ばし:Lv2】【苗床:Lv1】【酸攻撃:Lv1】【燃える体:Lv1】【分裂:Lv1】【ボディープレス:Lv1】【HP自動回復:Lv1】【挟力UP:Lv1】【宝石吐き:Lv6】【保存:Lv5】【針手:Lv1】


称号:【レアモンスター】【食王】【毒持ち】【麻痺持ち】【暗闇持ち】【混乱持ち】【夢魔持ち】【スキル収集家見習い】【ネームドモンスター】【キャッチ名人】

【称号収集家見習い】【キノコマイスター】【特殊進化体】【新種モンスター】【進化キャンセラー】【蟻の天敵】【巨大な体】【療養中】【スキル収集家】【貝の天敵】

【称号収集家】【宝石イーター】【缶詰イーター】【サボテンの天敵】

……………………………………

 忠誠度がまた下がっている。

 やっぱり種族が変わっていた。合成に使えば大量に経験値が入手できそうな名前だな。

 これは僕の予想だけど、これは特殊進化なのだろう。

 ルビースライムになった要因は、おそらく宝石イーターの称号だ。

 前にキノコを食べ過ぎてキノコスライムに特殊進化しそうになったり、海の水を飲み過ぎてオーシャンスライムに特殊進化しそうになったりしたことがある。

 きっと、宝石を食べ過ぎてルビースライムに進化したのだろう。

 それとともに覚えたであろうスキルも気になる。

 宝石吐き。

 そのスキルの説明を見て、僕はますますリベルテの扱いをどうしたものかと思った。

「ヴィンデさん、どうしたんですか?」

「んー、リベルテのスキルがね……」

 と僕はリベルテを凝視する。ほとんどのサボテンを食べて消化しているリベルテだけれども、何かが体内に残っている。

 サボテンの棘だ。

 そのサボテンの棘がひとつにまとまっていき、何か変異していく。

 そして、リベルテは穴を登ってくると、僕たちの前に吐き出した。


 それは赤く輝くルビーの原石だった。

 赤ん坊の拳くらいの大きさがある。つまりとても大きい。


 リベルテの持っている宝石吐きは、食べ物を食べるとその一部を宝石として吐き出すスキルだった。

 そして、リベルテは吐き出した宝石を食べようとしたので、僕は慌ててアイテムBOXから、前に燃やし、捕食用にしまっていた魔蜘蛛を五匹ほど出した。

「リベルテ、これを食べていいよ。その代わり宝石は僕にちょうだい」

 とリベルテに言うと、彼は喜んで蜘蛛を食べ始めた。

 そして、僕は宝石を手に取った。

「これ、いくらくらいになるんだろ」

 このリベルテの能力を知られたら、きっと悪い奴に狙われることになるだろう。

「……リベルテさん、こんなに食べてお腹壊したりしないんでしょうか?」

 ノーチェが心配そうに言った。

 大丈夫、リベルテだから。

 あと、リベルテの忠誠度は80まで回復していた。

 魔蜘蛛をあげたからだと思う。

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