洞窟の正体見たり、探索開始
さっきは死ぬかと思ったが、なんとか無事に生き延びた。
それにしても、硬いなぁ。
やっぱり背中から食べるのは無理か。
敵の気配がないため、僕はロッシュクラブを食べていたが、背中は硬すぎて、僕の鋭い歯も通らない。
そのため、腹から食べることにした。
あぁ、スプーンが欲しい。
……うん、腹は柔らかい。外殻の部分もエビ煎餅を食べているみたいにさくさく食べれる。
途中で、大きな石を飲み込んでしまったが、まぁ、気にするほどではないか。
7割ほど食べたところで、
【スキル:“捕食”の効果により経験値49獲得】
【ヴィンデのレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】
……………………………………
名前:ヴィンデ
種族:ブラックリトルシャーク
レベル:7
HP 35/35
MP 27/27
状態:記憶喪失
スキルポイント12
攻撃 32
防御 26
速度 30
魔力 16
幸運 27
経験値補正+10%
スキル:【捕食:Lv2】【言語理解:Lv1】【叡智:Lv2】【ステータス把握:Lv2】【スキル鑑定:Lv2】【索敵:Lv2】【泡:Lv1】【献身:Lv1】【硬い鱗:Lv1】【鋭い歯:Lv1】【肺呼吸:Lv1】【土魔法:Lv1】【鮫肌:Lv1】【HP自動回復:Lv1】【忠義:Lv1】【毒攻撃:Lv1】
称号:【転生者】【異世界魚】【記憶喪失】【捕食者】【蟹の天敵】【子持ち】【子沢山】【スキル収集家見習い】【魔術師】【出世魚】【称号収集家見習い】【ハートブレイク】【ネームドモンスター】【毒持ち】
……………………………………
よし、レベル7に上がってる。
ブラックバスよりはレベルが上がりにくいが、確実に強くなっているな。
そして、スキルポイント。どうするか。
変身を覚えるか、それとも回復魔法を覚えるか。
変身の利点が一つある。
例えば、どこかに隠れるとき、ブラックバスに戻れるというのなら、狭い場所に隠れることができる。
さっきも、僕には入れないけど、ブラックバスには入れる、というような岩陰とかがあった。
ただし、変身することにより、MPが継続的に消費されるとかなら困る。
ただ、万が一ではあるが、可能性があるんだよな。人間に変身できる可能性が。
実は、変身こそが人化の術の上位互換スキルだという可能性が。
スキルの名前しかこのあたりはよくわからない。
回復魔法のメリットは、もちろん回復できることにある。
これも覚えたい。
でも、一つしか覚えられない。
……よし、ここは男らしく決断しよう。
どちらにしようかな、てんのかみさまのいうとおり!
結果、変身を覚えるのが天の神様の指示になったわけだ。
【スキルポイントを10支払い、回復魔法を取得しますか?】
YESだ!
【スキル:回復魔法を取得した】
【称号:癒し手を取得した】
あんな神の言いなりになったら身を滅ぼすからな。
僕は僕の意志で進む!
ただの天邪鬼だけどね。
称号を貰えたのもいいな。最大MPが2増えてる。最大HPが1増えてる。
でも、癒し手ってスキルなら、献身を覚えたときにもらえても良かった気がするけど。
そのあたりは明確な基準があるのかもしれないし、ないのかもしれない。
ちなみに、レベル1で使える回復魔法の名前はヒール。
うん、単純だがわかりやすい。
あと、一応試してみたが、
ヒール!
と、やっぱり水の中で叫んでも叫べていないから、魔法は発動しない。
泡がないと使えないようだ。
空気の溜まってる場所があるというのなら話は別だけど、見たところ、洞窟の中はそういう場所はなさそうだ。
それにしても、懐かしい感じがするな。
入口はそうでもなかったが、奥に行くと、壁が淡く光っている。最初にこの世界にやってきたときのため池のような場所だ。
あそこも壁が光っていたからなぁ。
共通点といえば、ピエールクラブとロッシュクラブがいたことくらいだろうか?
洞窟の中は結構、奥まで続いているようだ。
しかも、分かれ道も多数ある。
んー、一応、あれも覚えておくか。
【スキルポイントを1支払い、マッピングを取得しますか?】
【スキル:マッピングを取得した】
マッピングを使うと、洞窟の中の地図、ただし通ってきた場所が3Dマップとして脳内に浮かび上がった。
ただし、MPを1消費した。
そして、その3Dマップの下に、こう書かれていた。
【海底迷宮D 探索率3%】
……迷宮!?
ここ、迷宮なのか。
そう思ったら地図が消えた。制限時間があるらしい。
迷宮……ダンジョン……魔物たくさん。
ロッシュクラブの群れとか怖いんだけどなぁ。
あれは夢に見るレベルだ。
慎重に戻ろうか?
でも、なんだろう。
探索率3%とか言われたら……ついつい100%まで行きたくなってしまう。
それに、さっき索敵で見たけど、敵はそれほど強くはないはずだ。
ロッシュクラブクラスの敵がいるのは確かだけど、一対一なら遅れをとるつもりはない。
ならば、今現在迷宮の入り口で大暴れしているあの巨大鯱のいる場所に戻るより、もしかしたらあるかもしれない別の出口を探す。
そう言う意味でも、迷宮を進むのは悪くない気がしてきた。
……少しだけ、少しだけ。
そう思いながら、僕は海底迷宮の奥へと進んでいった。




