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隠された扉

 いろいろと確認してみた。


……………………………………………………

黒衝撃:Lv1 レア度:★★★★★★★


レベルアップ条件:使用回数


効果説明:攻撃に闇属性を纏わせることができる。


入手条件:闇に属する者になる。

……………………………………………………

……………………………………………………

黒い鱗:Lv1 レア度:★★★★★


レベルアップ条件:闇属性の攻撃を受け続ける。


効果説明:鱗に闇属性に対する強い耐性を持つようになる。


入手条件:黒竜属、または黒蛇属になる。

……………………………………………………

……………………………………………………

竜の爪:Lv1 レア度:★★★★★


レベルアップ条件:使用回数。


効果説明:爪による攻撃力が大幅に上昇する。


入手条件:竜属の状態で鋭い爪のレベルが10になる。

……………………………………………………

 闇攻撃と闇耐性か。僕が今まで持っていなかった属性だ。

 竜の爪が本来の入手法と異なるのは、ベビードラゴンになったときに手に入れた竜の魂のレベルが上がったからだろう。


 まず、称号は99個。予約が8個。

 スキルは117個。

 これだけで、スキル変換、称号変換によるステータス増は432になる。

 さらに、ネームドモンスターをはじめとしたスキルや称号の数々。

 これらを含めての基礎ステータスからの最大HPの増加は現在500近くにまで膨れ上がっている。

 それでも、変身スキル解禁まで先は長そうだ。まぁ、肉体再生のおかげで命の燃焼のデメリットは減りつつあるから、先が見えないことはないんだけど。


 ベビードラゴンやG.B.サラマンダーあたりなら変身できるのだけれど、ピエールクラブなどには変身できない。絶対に。

 さて、そろそろ帰ろうか。そう思ってときだた。


「…………ぐっ」


 急に胸のあたりに鋭い痛みが走った。

 身体を締め付けられるような痛み。

 なんだ、これ。HPやMPは減っていないし、状態変化も、記憶喪失と命の燃焼のみ。

 でも、痛みはさらに広がっていき、体全体が痛い。


「あぁぁぁああああっ!」


 なんだ、この痛み。全身が締め付けられるような……ぐっ……あぁぁぁぁ。

 ステータスを確認していると、HPがだんだんと減っていく。毒の時よりも速いHPの消費に、HP自動回復が追い付かない。

 慌ててフォルテヒールを唱えるが、このままだといずれMPが無くなってしまう。

 僕、このまま死ぬのか


 そう思ったら、いつの間にか痛みは消えていた。


 先ほどまでのたうちまわっていたせいで、息が荒いが、それでも先ほどまでの痛みは引いていた。

 

 いったい、今のは何だったのだろう? 遠くからの超能力のような攻撃だろうか?

 少なくともひとりでいるのは危険だと、僕は空を飛び、ラビスシティーの宿へと戻っていった。


   ※※※


 あれから、体の痛みはない。

 やはり、一時的なものだったのだろう。楽観的だとは思うけれど、病院で精密検査を受けることはできないだろう。

 ノーチェの体調もすっかりよくなったようだ。

 それより問題はお金だ。

 昨日の青い鳥から毟り取った青い羽はそこそこの値段で売れたとはいえ、金貨1枚にも満たなかった。

 やはり、美味しそうな香りで魔蜘蛛をおびき寄せて……いや、ノーチェと一緒に迷宮に潜る以上、そんな危険なことはできない。


 とりあえず、一か八か蜘蛛を狩り続けよう。そう意気込んで、僕たちはさらに蜘蛛狩りを続けた。


「ノーチェ、お見事!」

「ありがとうございます」


 ノーチェの矢が見事に魔蜘蛛の額を捉えた。止まっている的ならまだしも、動き回る蜘蛛の額に突き刺さるとは、ノーチェの弓矢の腕前はスキルだけではない、天性のものがあるのかもしれないな。

 だが、残念なことに、出てくるのは糸束ばかり。

 魔蜘蛛の虹糸玉が出るのはいつになることやら。


「……ん?」

「どうしたんですか、ヴィンデさん」

「この壁の向こうから魔物の気配がするんだけど……」


 僕はふと謎の気配に気付いた。

 大量の魔物の気配。


 そして、マッピングで確認する。

 そこは何もない空間だった。四方を壁で囲まれている。どこからも入れない。


 いや、マッピングをもう一度確認すると、扉のマークがある。


「ここだ。ここに扉があるって書いてある」

「ただの壁に見えますけど」

「いや、僕の良眼スキルだと、ちゃんと継ぎ目が見えているよ。壁に偽装している扉だ、これ」


 マッピングスキルがなかったら絶対に気付かなかったと思う。

 よし、押してみよう。

 そう思って力を籠めるが、扉はびくともしない。


「あの、もしかしてこれ、押すんじゃなくて引くんじゃないでしょうか? ここの通路だけ、他の通路より幅が広いので……」

「え?」


 僕はもう一度マッピングを確認する。本当だ、ノーチェの言う通り、ここの通路の幅だけ少し広い。

 扉がこちら側に開くことを前提として広くしているのだとすれば、


「……その可能性もあるね……でも、取っ手の類もないし、引っ張ろうにも……あ、そうだ」


 僕は口をすぼめて、それを吐き出した。


 糸だ。


 まるで魔蜘蛛のように魔法の糸を吐き出す。蜘蛛の天敵の称号を手に入れた時に覚えたスキルだ。

 十分くらいで消えてしまう糸だけれども、その粘着力はかなりのもの。

 僕はその糸を壁にくっつけて、思いっきり糸を引っ張った。

 すると――壁が音を立てて開き、


「きゃぁぁぁぁぁっ!」

「ノーチェっ! うわぁぁぁっ!」


 火を吐いて口から出した糸を焼き切り、ノーチェが悲鳴をあげた原因を見て僕も思わず叫んだ。

 蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛だらけの部屋だった。

 これは悪夢だ。トラウマになる。

 でも――


 ――ドラゴンブレス!


 僕が吐き出した炎が、あまりの多さに身動きが取れずにいた蜘蛛たちを一気に焼き払った。


【経験値115獲得、次レベルまで残り経験値6851】

【経験値126獲得、次レベルまで残り経験値6725】

【経験値115獲得、次レベルまで残り経験値6610】

  ・

  ・

  ・

  ・

【経験値115獲得、次レベルまで残り経験値0】

【ヴィンデのレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】

【経験値126獲得、次レベルまで残り経験値7625】

  ・

  ・

  ・

  ・

【経験値127獲得、次レベルまで残り経験値4321】


 はぁ、一気に10000以上の経験値……100匹近く倒した計算になる。

 そして、蜘蛛がいた場所に入ると、大量の魔石と魔蜘蛛の糸束、それに数個の魔蜘蛛の糸玉が落ちていた。


 仕留めきれなかった魔蜘蛛たちがいて、そいつらは部屋の床に空いた穴の中へと入っていった。


 でも、そんなのを気にする余裕はない。

 あったのだ……


「……綺麗ですね」


 思わずノーチェもうっとりとしてしまう虹色に輝く糸の塊。

 魔蜘蛛の虹糸玉が。


「やりましたね、ヴィンデさん」

「うん、ありがとう。ノーチェが扉が引っ張るものだと気付いたおかげだよ。レベルも上がったし、いいことずくめだ」


 僕は魔蜘蛛が入っていった穴を見る。

 穴は僕も少しつっかえてしまいそうな小さな穴で、魔蜘蛛も足を折りたたまないと入れないくらいだ。


 一匹の魔蜘蛛が見えたのでトドメを刺そうかとおもったら、なんど魔蜘蛛は地下の壁を通り抜けて入って行った。

 隠し扉があんなところにもあるのか。

 あれはギルドに教えたほうがいいかもしれないな。


「おい、凄い悲鳴がしたが大丈夫か!?」

「こんなところに隠し部屋があったのか」


 入って来たのは二人組の男。

 どちらも剣を持っている30歳前後の男だ。スパイダーハンターだろう。

 ノーチェと僕の悲鳴を聞いてやってきたようだ。


「心配かけて申し訳ありません、大丈夫です。全部終わりましたから」


 頭を下げて謝罪するノーチェを見て、男たちは何やら目で合図を送って頷きあった。

 そして、


「おい、大人しくその虹糸玉を置いていきな」


 彼等はあろうことか、鞘から剣を抜くと、その鋭い刃をノーチェに向けたのだった。

大量の魔蜘蛛を倒せる実力があるのだから、自分たちより格上だと思わないのだろうか?

思わないのだろうな。

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