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認識阻害

……………………………………………………

認識阻害:Lv1 レア度:★★


効果説明:他の人から認識されにくくなる。

レベルアップ条件:声をかけて三人連続無視される。


入手条件:称号【薄い影】取得。

……………………………………………………


 なんというか、スキルポイント17を消費した割に、いろいろと虚しくなるスキルだ。

 特にレベルアップ条件を読んでいると。

 三人連続、声をかけて無視されるとか虚しすぎる。

 薄い影って称号もなんか嫌だなぁ。どこの窓際サラリーマンだよ。喫茶店に入っても十分くらい注文を聞きに来てもらえないタイプの人なんだろうな。


 試しに認識阻害を発動させてみる。

 が、当然何も起きない。うーん、他の人に見てもらうのがいいんだけど、でも、仮に他の人に見つかったら厄介なことになる。


 ということで、ノーチェには悪いけれど、彼女がどう反応するかを試させてもらおう。

 最後まで僕に気付かなかったら、後ろから「だーれだ」とか言いたい。うん、言いたい。カップルっぽい! 婚約者っぽい!

 あ、でも僕が部屋から急にいなくなったらノーチェが心配になってしまう。


 うん、僕が野宿用に用意していた枕と毛布を用意して、部屋の隅に包めて僕が寝ているように見せよう。

 準備が終わったところで、扉がノックされた。


 控え目なノックは、間違いなくノーチェだと思った。僕が寝ていたら起こしたら悪いと思ったけれど、でもノックもせずに入るのも失礼だと思ったのだろう。

 そして、僕の返事を待たずに、扉は開かれた。


 ノーチェが入ってきた。部屋に入ってくるノーチェも可愛い。

 ランプで照らされた室内で、僕を見つける。否、正確には僕の毛布と枕を。

 僕はこれでも変温動物だから、夜はしっかり暖かくしないといけないから、この毛布を愛用している。


 ノーチェは何も言わず、にっこりと笑った。

 僕が寝ていると思ったのだろう。僕の寝ているところを見て微笑むって、何、このシーン。

 たぶんこの機会がなかったら僕が一生見ることができなかっただろうこのシーンを見て、僕の心がきゅんとなる。

 そして、ベッドの横にいる僕にノーチェは気付いていない。

 目立つように空を飛んでいるのに認識されていない。


 認識阻害って凄いな。

 これなら外を飛んで移動することもできる。

 さて、そろそろノーチェに「だーれだ?」をしようかな? あぁ、でもあまりノーチェを驚かせるのもよくないし、そっと声をかけようかな。

 そう思っていたら、ノーチェが持っていた荷物をベッドの上に置いた。

 ノーチェが可愛すぎて荷物を持っていたのに気付かなかった。デートをするときは注意しないといけない。男なら彼女の荷物はしっかり持たないと。


 ノーチェが持っていたのは、服の入った袋だった。いろいろな服を袋から取り出す。

 そして、ノーチェはそれを見て微笑むと、おもむろに自分の服の裾を握り服を――


「ちょっと待ったぁぁぁっ!」

「え? ヴィンデさん!? あれ?」


 ノーチェは僕と毛布の塊を交互に見て、そして、自分の姿――おへそをチラ見せしている自分のお腹を見て、顔を真っ赤にしたのだった。


   ※※※


「認識阻害スキルですか、便利ですね。でも、一度ヴィンデさんがそこにいるってわかると、どうしてわからなかったんだろってなりますね」

「そのあたりはやっぱりレベル1だからかな。きっと一度そこにいるってわかってしまったら認識阻害スキルは全く作用しないんだろうね。魔物に対しても一度攻撃したら効かないし、警戒している相手にも通用しないかもしれないか」


 あとは、やっぱり索敵スキルあたりにも引っかかりそうだ。

 それでも、十分に使えることはわかった。


「あ、そうそう。婚約式だけど、ゲノムも参加したいって言ってたから」

「ゲノムさんもいらっしゃるんですか? 光の弓のお礼を言わないといけませんね」

「あぁ、そういえばノーチェは格安で売ってもらったんだよね。ちょっと高いかと思ったけど、実際に使ってみると本当に凄い武器だったし」

「メイベルも、金貨200枚で買い取りしたいって言ってました」

「200枚!?」


 ごくんと生唾を飲み込んでしまう。それを売れば、一気にノーチェの婚約指輪を買う資金になる。元々金貨数枚で買った武器だし、差額で大儲けだ。

 

「もちろん売ったりしませんよ。これはヴィンデさんに買ってもらった大切な武器ですから」

「あ……うん、そう言って貰ってうれしいよ」


 自分が情けなくなった。婚約指輪のためだからといって、ノーチェの武器を売ろうとするなんて。

 反省しないといけないな。守銭奴にならないように注意しないと。


「あ、それとメイベルからこれを預かってきました」


 ノーチェが出したのは、蒼の宝玉と一枚の紙だった。


「前のオーナーさんが来て鑑定してくれたそうです。これをヴィンデさんに渡してほしいって頼まれました」

「え? もう? あぁ、そうか、鑑定スキルがあれば一瞬だからか」


 でも、本当に凄いな、鑑定を10レベルにするのって。

 僕は紙を受け取り、それを確認した。

 そこに書かれていたのは、鑑定によってわかったこのアイテムの説明。


……………………………………………………

蒼の宝玉【魔道具】 レア:★×8


四幻獣の一体の封印を解くための宝玉。

封印されている幻獣の場所を知るには蒼の杖が必要。

……………………………………………………


 ……なんかいろいろと凄い道具だったんだ。

 杖と宝玉がないと封印が解けないってことか。あと、これを読む限り、残りの幻獣も封印されているんだとしたら、宝玉と杖も四組あるんだろうな。蒼の杖を持ったら、蒼の探索者、みたいな称号が貰えるのだろうか?

 あと、残り三色は何なのだろう? 赤は必須として、黄色? 緑? 紫? 白?

 封印されている幻獣というのも気になる。


「これは、前オーナーさんがいい値で買い取ってくれるそうですよ。ヴィンデさんの道具ですから、メイベルにはヴィンデさんの返事を待ってから答えるって伝えておきました」

「いい値で!? 売ってもいいと思う……あぁ、でも」


 フリーマーケットに売るってことは、売り物になるってことだよな。

 四幻獣がどういう存在かわからないけど、それが世界を滅ぼすような邪悪な物だった場合、その封印を解くようなアイテムを売ってもいいのだろうか? と思う。

 蒼の守護者の称号を持っているからというわけでもないけれど、目の前の金欲しさに見誤ってはいけない。


「やっぱりやめておく。この蒼の宝玉はアイテムBOXにしまっておくよ」


 さっき守銭奴にはならないって反省したばかりだからね。

 僕はそう言って、メモと一緒に蒼の宝玉をアイテムBOXに入れたのだった。

アイテムコレクターを読んでいない読者様もいらっしゃると思いますけれど、

そういう人は、まぁ、元オーナーは凄い人とだけ思っていてください。

もしくは、凄い変な人とだけ。



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