罠とオークの屍を越えて来い!
ついでに僕の周囲にある矢を全て回収したところで、斧や棍棒を持ったオーク達が、罠のある場所へと差し掛かった。
秘技、罠地獄の出番だ。
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罠作成:Lv1 レア度:★★★
道具を使い罠を作る。
レベルに応じて作れる罠が増える。
入手条件:転び石100個作製
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転び石とは転びやすい石のこと。
何故か転びやすいらしい。また材料も大きめの石だけと簡単に作れる。
MPも消費しない。
30か所に設置した。
先頭を走るオークが石に転んだ。
そして、その転んだ先にあるのは、深い落とし穴(土針付き)。
前のめりで倒れていけば、当然、致命傷はさけられない。
ゲリラ戦はこのくらいしないとな。
【経験値793取得。次レベルまで残り経験値9820】
よし、まずは一匹。
しかも、落とし穴だらけの道だと気付いたオーク達は当然ながら行軍が遅くなる。
そこで、僕は尻尾から毒針を発射させる。
毒針30連発……HPが減っていくけれど、時間があれば回復できるからな。
さらに、暗闇を付加。
先頭を走るオークの何体かが暗闇になった。
石の罠は慎重に進めば、石を見つけて回避できる。
だが、目がみえなくなったらそうはいかない。
余計に遅くなるというわけだ。
その間にHPを回復させつつ、敵の大多数をこちらに引き寄せればいい。
そう思った。だが、後方から怒号が鳴り響き。
あれは、オーク大将の激励か。
そう思った直後、目が見えないはずのオーク達が突撃を開始、石に躓き落ちていくオークだが、露わになった落とし穴、さらに落とし穴の前に石があることもばれているため、次々と罠を超えられる。
【経験値780取得。次レベルまで残り経験値9040】
【経験値806取得。次レベルまで残り経験値8234】
【経験値780取得。次レベルまで残り経験値7454】
経験値が入るとともに罠が越えられていく。
そして、斧を持ったオーク隊長が僕に斬りかかろうと飛んできた――が、
「土壁!」
突如現れた土壁に激突、そしてその土壁の前には、やはり落とし穴を作っている。
落とし穴に激突して落ちていくオーク兵たち……
【経験値780取得。次レベルまで残り経験値0】
【ヴィンデのレベルが上がった。各種ステータスがアップした。スキルポイントを手に入れた】
よし、レベルアップきた。
と思ったら、経験値コールが止んだ。
諦めたのか、そう思ったら、壁が……壁が割れた。
ウソだろ、土壁を破壊するとか……乗り越えてくる可能性は考えていたけれど、跳躍量によって敵の数を絞れると思っていたが、まさか力技で来るとは。
そして、崩れ去る土壁から、そいつが姿を現した。
銀色に光る、巨大な鉄柱を持ったオーク。
【オーク隊長:HP:590/590】
なるほど、ここで隊長のお出ましってことか。
隊長クラスはここで倒しておきたい。
僕はミニドラゴンブレスを放つと同時に、その反動で後ろへと飛んだ。
これで牽制し、息を吸い込み、一気に決着をつける。
そう思ったが、オーク隊長は炎を全身に浴びながらも怯むことなくこちらに突撃してきた。
ぐっ、流石は隊長ともなると違うな。
オーク隊長の鉄柱が僕目掛けて突き出された。
重さ数百キロはあろうかという鉄柱を……だ。
あんなのまともに喰らったらこちらの身がもたない。
ならば……急浮上!
空へと大きく浮き上がった……はずだった。
だが、奴の鉄柱が僕の右翼を打ちぬいた。
「がっ……このやろぉぉぉっ!」
地面に落ちそうになるところを、ミニドラゴンブレスを吐き出して急浮上する。
【オーク隊長:HP:231/590】
逆にこっちのHPは【600/943】。
割合でいえばこっちのほうが優っているが、一撃で1/3以上削られた。しかも急所ではない翼で。
なんて馬鹿力だ。
オーク隊長の後ろでは、破壊された壁の奥の落とし穴を乗り越えて、次々とオーク達がこちらに来ている。
ていうか、穴に板を敷いてる!
うそ、そんなもんまで用意してるの?
正直、オークを舐めてたわ。
「お前もオーク大将に従ってるだけだろうが、悪いな……奥の手その1を使わせてもらう」
僕は着地しながら、アイテムBOXから力の妙薬を取り出し、一気に飲み干した。
突如、力が身体に溢れる。
猪突猛進からの体当たりからの角攻撃!
鉄柱の突き攻撃の横をすり抜けるように突撃した。
最大の物理攻撃手段。
名付けるとしたら、こんな感じだ。
「奥儀ヴィンデバリスタ!」
僕自身を打ち出して相手を攻撃する、最大の特攻技だ。
そして、僕の角は、オークの胸へと突き刺さる。
「ぐうぉぉぉぉぉっ!」
それがオーク隊長の断末魔の雄叫びだった。
【経験値2310取得。次レベルまで残り経験値23089】
オークの死骸を鉄柱ごとアイテムBOXに収納した。
オーク隊長をまずは一匹倒したか。
「ヒール! ヒール!」
とりあえず減ったHPを回復させた。
これより奥には罠はない。
敵は十分ひきつけた。そろそろ逃げる。
逃げ先は一つ。
前でも後ろでも、そして上でもない。
下だ!
「落穴!」
突如僕の横に現れた穴に飛び込み、僕はその中へと落下していった。
戦闘開始前にあらかじめ準備してあった秘密の抜け穴へと。