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銃としての役割を果たしていない。なぜ弾倉が空なのか。
まじまじと観察していると前部車両へ繋がる扉が開け放たれ、バンダナの男の仲間と思しき人間たちが入り込んできた。そして車両横に空いた大穴と床に這いつくばる仲間を見るなり、
「どこの野郎だ抵抗しやがる馬鹿野郎は!」
怒号が飛んだ瞬間、ロニのこめかみに電流が走った。
ふらりと通路に出て正面を見据えれば、銃を携えた男四、五人の姿が視認できる。
「便所か?」
いつから起きていたのか、頬杖をついて目をつぶったままシルバは問う。それに対し、上着に袖を通しながらロニは返した。
「お 手 洗 い です」
カツカツと床を蹴りながら歩みを進める背中からは、怒気が立ち昇っていた。