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Crow in the dark  作者: えむ
一、世界はそれを成り行きという
16/23

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 それを聞いてロニは、まさか列車の遅れが原因ではないだろうかと心苦しくなったが、しかしどうやらその事とは無関係のようで、連絡の伝達が不十分であったというのが理由らしい。

「大変申し訳ございませんが、少しお時間いただいてもよろしいでしょうか」

 すぐに手配を改めます。とフリックは続ける。

「あ、えっと、はい。僕は別に構いませんよ」

「ありがとうございます。では、少々失礼いたします」

 シルクハットを被り直し、雑多の中を進んでいくフリックの後ろ姿はすぐに紛れて見えなくなった。

 一人取り残され、手持ち無沙汰になったロ二。

 とりあえずシルバのトランクに腰掛けて街の風景を改めて眺める。

 通り過ぎていく人々の格好は統一感がなく多種多様。建ち並ぶ木造建築家屋からは食欲をそそるいい香りが漂ってくる。遠くに見える谷はオレンジ色から深い群青に染まりだしていて、夜の訪れを知らせていた。

 そんな感じで何を思うでもなく、ただただ視線を巡らせていると駅の方面を向いたところでプラットホームから出てきたシルバを発見した。

 ロニが手を挙げるとシルバも同じように手を挙げて応える。

「すまん、遅くなった」

「すごく待ちました。すごくすごく待ちました。待たされた時間に相応した金銭の支払いを要求します」

「あー馬車は?」

「露骨に無視されました!」

 その後、馬車の待ち合わせ時間が遅れていることをシルバに伝えると、暇潰しがてら街へ繰り出すこととなった。

 この雑多へ踏み込んでフリックと合流できるかどうかは、定かではないが。

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