~ 7 ~
レイヴァンの話が終わった後も、彼女はしばらくその場に立ち尽くしていた。
「以上だが?」
彼がずっと立ち続けているエリィに声を掛けると、彼女は振り向くことなくゆっくりと口を開いた。
「私は…… 明日、皆様よりも早くこの町を発ちオールトの街に帰ります」
「そうか。 なら、俺たちはあんたを目印にオールトの街を目指すとしよう。 余り離れると見つけるのが面倒だし、俺たちと同じここの二階に泊まってくれると手間が省けるのだがな」
「……ありがとうございます、レイヴァン様」
そう言うと、彼女は入り口に向けていた足を二階に向けた。
「レイヴァン、お前は相変わらず素直じゃないな。 話も回りくどいし!」
「そうです! 素直に、お金なんて貰わなくても助けるですって言えば良いんです!」
エリィが居なくなったのを見計らいレイヴァンに話し掛けるとリルも続く。
「自分たちのためとか言っちゃってさ! ホント格好つけたがり屋だな、お前は!」
「ブライト! ご主人様は、もともと格好良いんです! 勘違いしないで下さい!」
「リル、あいつに食事を届けてやれ。 明日の道中空腹で倒れられたら案内人の意味がないからな」
「わかったです!」
リルは皿の上に料理を一通り取り揃えると、エリィを追って二階へと上がっていった。
「なぁ、レイヴァン。 あの子の言うとおり、街じゃシスターたちが夜通し遊んでんのかねぇ?」
「あいつの話し方からして本当だろうな。 ……ブライト、まさかとは思うがシスターにも手を出そうとか思っていないだろうな?」
「そ、そこまで罰当たりなことはしないって!」
「なら良いが」
二日ぶりにまともな食事を済ませると、明日に備えてゆっくりと休むことにした。