~ 6 ~
助けた修道女を連れて近くの酒場に入るとテーブルを囲んで席に着いた。
すぐに店員を捕まえて注文を始めると、その横でレイヴァンたちの会話も始まった。
「名前を聞いていなかったな」
「そういえば、そうですね」
彼が先に名乗ると彼女はエリィと名乗った。
彼女は経緯を丁寧に語り始めるが、しばらくしたところで料理が運ばれてきた。
身体は正直なもので真面目に話を聞いていても腹は鳴る。
会話はレイヴァンに任せ俺とリルは食事を始めた。
彼女は出てきた食事には一切手を着けず、一気に状況を語ると最後に声を大にしてレイヴァンに向かって懇願した。
「お願いします、レイヴァン様! オールトの街を救って下さいませ! お金が必要でしたら修道院に戻れば何とかなりますので、どうか、どうか街を!」
必至に請い縋るように語り続けるエリィに対して、レイヴァンは静かに言葉を返す。
「手を組んで祈るな。 俺はあんたの大好きな女神じゃない」
「申し訳ありません」
「それに、さっきはあんたを助けるために雇用関係を結ぼうと言っただけで、本当に結ぶつもりはない」
「それは、助けて頂けないということなのでしょうか?」
「そうだ」
彼の一言でエリィの顔は一瞬にして曇った。
間髪を容れずに席を立つ。
「気の早いやつだな」
「助けて頂けないのでしたら、皆様と一緒に居る理由がありませんから。 先ほどは、ありがとうございました」
深々と頭を下げると彼女は店の外へと向かって歩き始めた。
「俺たちはあんたに懇願されなくても、ましてや雇われなくても街で起きている事件の真相を確かめにオールトの街へ行くつもりだった」
離れていく背に向かって、レイヴァンが声をかけると彼女の動きはぴたりと止まる。
「俺たちは、ある悪魔を追っている。 もしあんたが言うとおり、その町で起きている事件が悪魔の仕業だというのなら、俺たちはあんたのためではなく自分たちのために勝手にその悪魔を倒す。 あんたがこれからどうするかは知らないが、俺たちは明日の朝ここを発つ。 俺たちと共に地元の街に戻るか、あるいはまだこの町に留まるか。 それとも助けを求め別の街へ向かうか。 あんたの好きにするがいいさ」




