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「たしかに彼女の治癒術は役に立つ。 だが、同時に彼女は旅慣れない戦闘能力もない修道女だ。 確実に足手まといになる」
「そんなことなら心配ないさ。 マリアンちゃんの荷物も俺が持つし、戦闘中は俺が身体を張って守る」
「妙に彼女に肩入れするんだな。 若い女だからか?」
「そうじゃない。 俺はマリアンちゃんに命を助けてもらったんだ。 彼女が連れて行って欲しいと言うのなら恩返しの意味でも連れて行ってやりたい。 レイヴァンだってそう思うだろ?」
ブライトの言葉でレイヴァンはようやく状況を理解した。
「マリアンが言い出したのか?」
鋭い視線でウィルを見ると彼女は静かに頷いた。
「昨日マリアンが私の所に来て言うのです。 私のせいで悲劇が起きた。 私がここに居てはきっとまた同じことが起こる。 だからそうなる前にここを離れたいと。 ……でも、そんなことを簡単に了承できますか? 院の前に捨てられている彼女を私が見つけ今まで育ててきたのです。 血の繋がりは無くてもマリアンは私の大切な娘です」
「それで俺を護衛として留まらせようと?」
「そうです。 再び悪魔が現れ街が襲われても大丈夫なように。 そうすればマリアンはずっとここに居られます。 ……ですが、それは叶わぬこと」
「留まるなんてのは無理な願いだな。 俺にはやらなければならないことがある」
「だから、せめて貴方の傍にと」
ウィルの沈痛な面持ちはさすがに堪える。
レイヴァンは思わず息をついて周りを見渡した。
ブライトはこういう理由だから連れて行くしかないだろうと言わんばかりの表情。
目の前のリルも連れて行きたそうに目を輝かせている。
ここまでされると正直断りづらい。
「マリアンは本当に俺たちについてきたいと言っているんだろうな?」
「間違いないさ。 昨夕俺が話を聞いたんだ」
「なら後は俺がマリアンと直接話をして決める」
レイヴァンの視線に三人は大きく頷いた。




