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「……これは悪魔の指輪なんですか?」
「間違いない」
「ご、ご主人様、早く、早くリルの手から取ってくださいです!」
「落ち着け、リル」
レイヴァンが彼女の手の平から指輪を摘み取ると頭の中に覚えのない言葉が浮かんできた。
「ラファエル……」
「あの、ご主人様? 今、何か言ったですか?」
「何も言っていないが、どうかしたのか?」
「ラッパがどうとか……」
「間違いなく気のせいだろう」
「そうですよね」
「とりあえずこれは俺が預かろう」
「早いところ捨てちゃうです」
「そうだな」
続けて部屋に入ってきたのはブライトだった。
どことなく場都合が悪そうにしている彼はレイヴァンと視線が合うと、身体に似合わない小声で挨拶をする。
その様子を不思議に思ったレイヴァンが抱きついて離れないリルに問いかけると、彼女は理由を知らないという。
「お前が刺された時はさすがに焦ったが、無事で何よりだ」
「レイヴァンが悪魔の注意を引いてくれたからさ。 お陰でとどめを刺されずに済んだ」
普通の会話なのに照れくさそうに答えるブライトにレイヴァンは一層首を傾げていた。
「どうかしたのか?」
「べ、別に何でもないさ」
死ぬ前に感謝の言葉を並べた。
柄にもないことをしたなんて言えるはずがない。
このことこそ墓場まで持って行こう。
ブライトは自分を納得させるように何度も頷くと、大きく息をついた後いつもの調子で口を開いた。
「ところで、復活早々ものは相談なんだが、これからの旅にマリアンちゃんを連れて行かないか?」
ウィルに続いてブライトまで突然何を言い出すのか。
……いや違うな、おそらくこいつもウィルに相談を持ちかけられたのだ。
「修道女である彼女を俗世に連れ出してどうするつもりだ」
「どうもしないって。 単純にマリアンちゃんの力が俺たちの旅にとって役に立つと思っただけさ」




