~ 56 ~
正直どちらなのか判断はつかなかった。
ただ彼女が放つ淡い光が自分の全身を包んでくれているようだ。
光は暖かく優しい気持ちになれた。
気がつけば痛みもまったく感じなくなった。
やっぱ女神はすごいわ。
気分も良くなりこのまま天に昇るのだと思っていたブライトだったが、何故か急に活力が沸いてきた。
これが死ぬってことか?
死ぬ前ってこんなに元気でいいか?
何か…… いや、明らかに変だ。
ブライトは自ら体を起こしていた。
状況が解らず辺りを見渡すと、続いて自分の体に触れてみる。
流した血がまとわりつくが、それ以外何ともない。
……何ともない!?
「嘘だろ!? 腹の怪我がなくなってる!」
ブライトは思わず声を上げるとマリアンに視線を向けた。
「ブライトさん、よかった」
彼女は荒い呼吸を整えながら笑みを浮かべている。
「よかったって…… まさか、ホントにマリアンちゃんが怪我を治してくれたのか?」
しばし呆然としていたブライトだったが、頭の中を整理すると満面の笑みを浮かべた。
「こいつはすげぇ! 姫さんにそっくりな上に治癒術まで一緒だなんて! これはもう生まれ変わりとしか言い様がない!」
嬉しさのあまりマリアンに抱きつく勢いの彼だったが、彼女が苦しそうに呼吸をしているのに気がついて冷静さを取り戻した。
「ま、まさかマリアンちゃんの治癒術は、使用すると自分に大きな悪影響をもたらす類の術なのか? もしそうだとしたら俺なんかのために……」
「ち、違います。 ただこれほどの大怪我を今までに治したことがなくて。 思いの外、力を使ったみたいで。 疲れただけですので。心配しないで下さい」
マリアンは呼吸を優先し言葉を切りながら答えた。




