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レイヴァンが悪魔と対峙する中、他のハンターたちは呼び出された獅子の悪魔マンティコラを相手にしていた。
出現した時は意表を突かれて戸惑った上に各パーティーがそれぞれに封印を試みるため連携がかみ合わず劣性が続いたが、時間が経ち状況を理解したハンターたちは団結して悪魔と対等に渡り合い次第に追い詰めた。
ハンターたちの中で討伐の気運高まる中、尋常ならぬ事態に追い込まれたのはレイヴァンの一行だった。
悪魔の繰り出した一撃はマリアンを庇って前に飛び出したブライトの腹部を容赦なく貫いていた。
あり得ないところから突き出した剣の切っ先を見たマリアンは言葉を失い硬直している。
「ブライトしっかりするです!」
リルはその場に前のめりに崩れたブライトに駆け寄ると体をゆする。
しかし彼は動かない。
「し、死んじゃったです」
「……勝手に殺すな」
時間をおいてブライトは口を開いた。
「みんな無事か?」
平然とした表情を見せる彼だが、彼の容態は忙しない呼吸が全てを物語っていた。
「ブライトのおかげで無事です」
「マリアンちゃんも婆さんも無事か?」
修道女二人はしっかりと頷いた。
「それはよかった。 特にマリアンちゃんが無事なのが何よりだ」
ブライトは力が入らない腕を使いやっとの思いで体を起こすと反転して仰向けになった。
少しの衝撃でも激痛が走る。
「マリアンちゃんがやられていたらレイヴァンは間違いなく戦意喪失。 俺たちは即全滅してた。 刺されたのが俺で良かったぜ」
「いきなり訳が分からないことを言うなです!」
「あんまり説明するとそれこそレイヴァンに殺されかねないからな」
ブライトはうっすら笑みを浮かべ一度目を瞑ると何かを考えてから再び口を開いた。
「俺はもうみんなの役に立てそうにない。 レイヴァンが距離を取ってくれている今のうちに逃げてくれ」




