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影が消え去り再び姿を現したブライトは突然その自慢の怪力を誇示するかのように片腕でマリアンの首を絞めて宙に持ち上げていた。
「ブライト! 何をしている!」
「わ、わからねぇ! 身体が勝手に!」
まさか、ブライトに取り憑いたというのか?
レイヴァンは一瞬戸惑うような表情を見せたが、危機的状況には身体が自然と反応する。
腰の鞘から剣を抜き意識を集中して霊力を高めた。
対象の動きが止まっている今ならば得意の光速移動術で一気に間合いを詰めることが出来る。
悪魔を斬れなくても二人の間に割り込んで引き離す事はできる。
最悪ブライトの腕は切り落とす。
呪文を素早く紡ぎ術を発動しようとするレイヴァン。
しかし、その目前で再び予想を超えた出来事が起こった。
息が出来ず苦しむマリアンの全身が眩く輝いたかと思うとブライトの身体から影が悲鳴を上げて飛び出してきたのだ。
何かから必死に逃れようとする影だったが、光に飲み込まれるとそのまま消滅した。
その様子にその場に居た誰もが呆気に取られていた。
マリアンは地面に降ろされると何度も深く息を吸い込み呼吸を整えた。
体の自由を取り戻したブライトが申し訳なさそうに彼女に頭を下げている。
レイヴァンがその場に駆けつけると続けてリルがウィル院長の手を引いて合流した。
「何をしたんだ?」
レイヴァンの質問にマリアンは静かに首を振った。
「私も何が起きたのか解りません。 ただ心の中でミカエリス様の名を叫んでおりました」
「それこそ、忌まわしき封印の力」
彼女の代わりに答えたのは聞き慣れない男の声だった。
この老人どこから現れた?
訝しむレイヴァンを余所目に二人の修道女が声を揃える。
「ゼノ司祭、ご無事でしたか」




