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声の聞こえる方向を見ると、壊れた扉の前に一人の修道騎士が不敵な笑みを浮かべ立っていた。
その存在に気が付いたレイヴァンは相手を鋭く睨む。
「たしか騎士団長のアンディだったな」
「よく私の名前を知っていたな」
「あんたにも聞きたいことがある」
「今キサマなんかに構っている暇はないのだよ」
レイヴァンの言葉にアンディは笑って答える。
「相変わらず気に障る物言いだな」
「今、用があるのは院長なんでね」
アンディは言い終わるや否や抜剣し、ウィルに向かって走り込んできた。
騎士団長を勤めるだけあって動きには無駄がなく、瞬時に間合いを詰めると彼女に斬りかかる。
一瞬呆気に取られたレイヴァンだったが、すかさず二人の間に割って入った。
剣をかざしてアンディの斬撃を受け止めると、発せられた力が尋常ではないことが解る。
「人間ではないな」
物凄い音を立てて互いの剣が何度かぶつかり合った後、レイヴァンは相手の剣を押し退けて間合いを取った。
「あんたが、今回の事件を起した悪魔ってわけだ」
レイヴァンはアンディを鋭く睨んで尋ねたが、彼が質問に答えることはなかった。
代わりに不適な笑みを浮かべた口元を見て答えを得る。
「あんたには聞きたいことが山ほどあるんだが、その表情を見る限り何も答えるつもりはないようだな」
このままでは何も進展しないと悟ったレイヴァンは剣を握る拳に力を入れると今度は自ら相手に詰め寄った。
得意な間合いすると力いっぱい剣を薙ぎ払う。
アンディはすかさず剣でレイヴァンの攻撃を受け止めるが、予想以上に威力があったのか思わず一歩後ろに後退した。
「悪いがこっちは知りたいことだらけなんだ、力尽くでも話してもらうぞ」
レイヴァンはアンディを睨むと再び攻撃を繰り出した。




