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「マリアンなら今頃ブライトと共にここに向かっているだろうな」
彼女はレイヴァンの答えに思わず肩を落とした。
「今朝あなた方にマリアンの護衛を頼んだのは、こうなることが解っていたからなのです。 それをここに連れ戻すだなんて……」
「どういうことだ?」
「信じて頂けないかもしれませんが、昨夜ミカエリス様からお告げがあったのです。 お告げといってもミカエリス様の声が聞こえるわけではなく予知夢を見せて頂くと言ったほうが正しいかもしれません」
「また、それか。 悪いが時間が無いんだ、端的に話してもらおうか」
「昨夜、大地が裂け天が赤く染まり修道院が無残に崩れていく光景を見ました。 そして廃墟となった聖堂の中でマリアンが胸に黒い剣を突き立てられて息絶えているのです」
レイヴァンはウィルの最後の言葉にぴくりと反応した。
その一言で忌わしい過去の記憶が蘇る。
自分の右手を、そして最愛の人を貫いた黒い剣。
「それは何よりのお告げだ」
ここにいる悪魔の存在をより強く確信したのか思わず握る拳に力が入る。
「それでマリアンをここから遠ざけるために隣町へ行かせようとしたわけか?」
「そうです」
「だが、それではマリアンを護れたとしても修道院は護れない。 どうしてそこまでして彼女一人を護る必要がある?」
「それはマリアンが……」
ウィルが答えようとした瞬間、聖堂の扉が大きな音を立てて吹き飛んだ。
「な、なんですか!」
思わずリルが声を上げると直ぐに声が返ってきた。
「ウィル院長、こんなところに居ましたか」




