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レイヴァンたちはオールトの街から東にある隣町を目指して歩いていた。
マリアンの話によれば隣町までは何日も歩く必要はなく朝出れば日が暮れる頃には着く距離にあるらしい。
しかも隣町までは街道が伸びており民家に沿って緩やかな坂を登っていけば、特に危険な所はないということだ。
それなのに護衛をつけたウィルは何を考えたのだろうか。
レイヴァンは思案しながら歩き続けた。
旅慣れないマリアンを気遣ってブライトはもっと休憩を取るように勧めたが、彼女は昼食を取る時を除いて休むことなく歩き続けた。
疲れていないわけではないが、弾む会話が疲れを忘れさせていた。
同じように、いつもなら不満の声を上げるリルも今日は大人しかった。
日が傾きだした頃、それまで皆の後ろを少し離れて歩いていたレイヴァンが静かに三人へと近づいた。
「どうやら、ようやくお出ましのようだ。 さっきから五人がつけて来ている」
「やっと俺たちの出番ってわけだ! ……で、どうするんだ? 早速暴れるか?」
マリアンとリルが驚いて同時に見つめる中、ブライトは待っていましたとばかりに拳をがしりと合わせると、嬉しそうにレイヴァンに問いかける。
「慌てるな。 どうも悪魔ではなさそうだし、もうしばらくは相手の出方を見る」
「了解」
それからしばらくは何事もなかったように歩き続けたが、日が沈みだし目の前に町の灯りが見え始めるとつけてきた来た五人が一斉に動き出した。
散開し素早く前方に回り込む。
様子を感じ取ったレイヴァンは皆に立ち止まるように指示を出した。
「これ以上は無理だな。 ブライト、町に入る前にやるぞ」
「そうこなくっちゃ!」
「だが、向こうが殺気立っているからって応じるなよ。 大した相手じゃない。 まずは相手を捕まえて、つけて来た目的を吐かせるんだ」
「わかってるって!」
レイヴァンは腰に携えていた剣を抜くと、静かに前へと進み出た。
「それだけ殺気立っていて隠れているつもりか? いい加減出てきたらどうだ?」
レイヴァンが声を上げると一呼吸置いて相手が姿を現した。
五人とも結構な強面の男で、鋭い視線でレイヴァンを睨んでいる。
「お前がレイヴァンだな?」
「そうだが?」
「なら、覚悟してもらおうか!」
男はいきなり剣を振りかざしてレイヴァンに向かって突っ込んできた。




