~ 2 ~
小さな町を発ってから二日が経っていた。
その間に険しい山道は無く、現れる下級悪魔たちも大した脅威にならなかったので、順調に次の目的地であるオールトの街へと近づいていた。
それでも未だ三日ほどの距離が残っている。
そうなると、決まって起こることがあった。
「ご主人様、オールトっていう街にはまだ着かないですか? リルは早くふかふかベッドで寝たいです。 出来立てご飯が食べたいです」
歩くことに飽きてきたリルから愚痴が零れるのだ。
彼女としては暇つぶしに会話の相手をして欲しいのだが、主人のレイヴァンは聞く耳を持たず歩き続けた。
その日の昼下がり。
丘を下っていると町が見えてきた。
レイヴァンが足を止め、目を凝らして町を見据えたので隣に立ち同じように目を細める。
「あれがオールトっていう街かな?」
「まだ二日しか歩いていないから、恐らく違う町だろうな」
「やっぱ違うか。 街というのには規模が小さい気もするもんな」
「どっちにしても、今日はあそこの町に泊まるです! 町にはふかふかベッドも、出来立てご飯もあるです!」
歩き疲れていたリルだったが、町を見つけると自然と駆けだしていた。
「アイツは相変わらずのようだな」
「小さい町のようだが、可愛い子がいればベッドが硬かろうが飯が冷たかろうが俺は何の文句もないね!」
「お前も同類だったな、ブライト」
「急がないと置いてくぜ?」
「まったくお前たちは現金な奴らだ」
「何のことだか」
茶目っ気たっぷりに答えると先に行くリルを追って駆け出した。