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「アンシティフよ、まだ見つからないのか?」
「申し訳ありません、アスモダイ様。探してはいるのですが……」
暗い部屋の中では互いの距離すら確認できない。
「封印を解く最後の楔なのだ」
「心得ております」
ただ静かに二人の会話が続いていた。
「全ての封印をメフィストに解かれたとなれば、ルシファー様が蘇った時に顔向けできぬ」
「おっしゃるとおりでございます」
「それに、噂によると我々にとって厄介な人間が出てきたらしいからな。 あまり時間も無い。 急げよ、アンシティフ」
「かしこまりました。すぐに探しに向かいます」