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魔天創記 (弐)  作者: ちゃすけ丸
第3章
18/74

~ 17 ~

 祈りに集中しているからか彼女は足音にまったく反応を示さない。



 レイヴァンは近づくと興味本位で声を掛けた。



「深夜にもお祈りか? 修道女ってのは熱心なものなんだな」



 背後から聞こえる突然の声。



 そこでようやく彼女は他人の存在に気がついたようだ。



 身体を一気に硬直させ怯えるように振り返える。



 なんとも滑稽な修道女だと思ったが、その姿を見た彼は思わず声を上げていた。



「ミレーニア!」



 彼女は突然名前を呼ばれて驚いている。



 初対面なのだから、それが彼女の名前であるはずがない。



 しかし、レイヴァンの瞳にはそう呼ぶ姿に映ったのだ。



 ミレーニア。



 それは、もうこの世に存在しない人の名前。



 彼が愛した女性の名前。



「い、いや、すまない、人違いだ。 ミレーニアであるはずがない」



「え? あ、あ、いえ、そんな……」



 彼女は状況が理解できないようで言葉を詰まらした後、一呼吸置いてから話しかけてきた。



「レイヴァン様ですよね? ウィル院長から話を伺いました」



 彼は驚きの表情を隠せないまま短く返事をした。



 頭の中では未だ修道女とミレーニアの姿が重なり合っている。



 聞こえる澄んだ声も、ミレーニアそのもの。



 本当にミレーニアじゃないのか?



 心の中で何度も自問した。

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