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「エリィさんに話は伺いました。 レイヴァンさん、何卒よろしくお願い致します」
「あんたは?」
「これは申し遅れました。 私はウィルと申します。 病床につくゼノ司祭に代わって祭事を任されております」
「なるほどな」
「単なる婆さんじゃなかったわけだ」
「ブライト、失礼です!」
話を聞くとウィルはここの院長ということで、修道士や修道女たちの中で一番目上の存在であることがわかった。
三人は彼女の計らいで事件を解決するまでの間、部屋の一室を無償で貸してもらえることになった。
一通りの挨拶が終わったところで、エリィが院内を案内してくれると言う。
ブライトとリルは早速彼女について歩き出したが、レイヴァンだけはその場に留まりウィルに質問を投げかけた。
「今回のことで他に話しておきたいことはないか?」
「他には何もありません」
「被害者について知っていることは? 例えば……殺された人間には何か共通点があるとか」
「そのような核心的なことは何も解っていないのです」
「そうか。 なら後は、あんたらが大好きなその女神像にでも祈っていればいいさ」
質問を終えたレイヴァンはブライトたちを追って聖堂の外へ出た。