~ 13 ~
大きな扉が大きな音を立てて開くと、レイヴァンたちは早速中へと足を進めた。
静かな聖堂内に三種類の足音が響く。
先頭を行くリルは蛇行しながら大きな堂内をしきりに見渡し、天窓に施された色彩豊かな瑠璃細工を見つけると目を輝かせた。
それに対しブライトの足取りは重く、思わず嘆きの声が漏れる。
「この張り詰めた空気!実に耐え難い!何かもう全身が痒くて堪らない!」
聖堂内に一歩踏み入れた瞬間に解る独特の雰囲気。
神聖な場所とは言え大人しくすることが苦手なブライトにとって張り詰めた空気は牢獄の中にある足枷のようなもの。
唯一レイヴァンは落ち着いていて、周囲に気を配りながら人気のない聖堂をまっすぐに歩いた。
聖堂の奥に進むと、目の前には大きな石像が現れた。
容姿から女神か天使に見えるその像は大きく両手と羽根を広げ、訪れる者全てを受け入れるようだ。
思わず見上げていた三人が像の足下に目を向けると、一人の老女がゆっくりと祭壇を下りてきていた。
よく見れば彼女の隣には先に行ってしまったエリィが寄り添っている。
「皆さん、先程は申し訳ありません。 あまりにも驚いてしまい我を忘れて……」
「気にするな」
「よくおいで下さいました」
壇を下りてきた老女は三人に向かって丁寧に頭を下げた。