~ 12 ~
しばらくしてレイヴァンたちは修道院の門前に辿り着いた。
「こいつはでかいな」
「大きいです」
目の前に広がる大きくて厳かな雰囲気に包まれた建造物にブライトとリルは息を飲んだ。
思わず立ち尽くしてしまうとレイヴァンに歩むことを促される。
三人は同時に門をくぐり敷地内に入ろうとしたのだが目の前には二人の男が現れた。
「待たれよ」と声を発する彼らは青を基調とした服に軽量の鎧を身に纏っており、長い槍を交差してレイヴァンたちの行く手を遮ってしまう。
突然のことに驚いていると相手は「この修道院内では、何人たりとも帯剣することは認められない。その剣は我々が預からせてもらう」と一人がレイヴァンの腰を指差した。
「いきなり何を言い出すんですか! ご主人様は剣士です! 剣が無いと困るに決まっているじゃないですか!」
リルが叫ぶと男は彼女の問いにもすかさず答える。
「我々は、このルーヴィエ修道院を護る騎士団である。 院内では我々の指示に従ってもらう」
「ここから立ち去るときには返してもらえるんだろうな」
「無論だ、そこの詰め所に剣は置いておく。 帰る際に立ち寄るが良い」
レイヴァンは納得すると携えた剣を腰から取り外し騎士の男に差し出した。
騎士は大きな声で活舌良く話すとレイヴァンの差し出した剣を受け取り、詰め所へと歩いていった。
「まったく、修道院に騎士団があるなんて驚きだな」
「なんでもいいさ、それよりあの建物に向かうぞ」
レイヴァンが視線を送った先には、修道院内の中央に建っている大聖堂があった。
「ここのお偉いさんに会って、話を聞こうってことか?」
「そんなところだ」
「リルは大きな建物の中に何があるのか、わくわくするです!」