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第零真 反射は本能の証
教室に二人が居た。
否、正確には二人と一匹。揚羽蝶が、窓ガラスを叩いている。彼等の手にはシャープペンシル、手の下には数学のテスト用紙。
ふいに、片方の少年が立つ。もう片方の少年は、椅子の音に驚き、「本能的に」顔を上げた。
そのとき、彼の答案用紙は表を向いていた。顔を上げた少年の目に入ってきたのは、その名前記入欄だった。しかし―――そこに在るはずの物が、無い。
彼の答案には、名が書かれていなかった。
終限の鐘が鳴る。
蝶が、逃げた。
教室に二人が居た。
否、正確には二人と一匹。揚羽蝶が、窓ガラスを叩いている。彼等の手にはシャープペンシル、手の下には数学のテスト用紙。
ふいに、片方の少年が立つ。もう片方の少年は、椅子の音に驚き、「本能的に」顔を上げた。
そのとき、彼の答案用紙は表を向いていた。顔を上げた少年の目に入ってきたのは、その名前記入欄だった。しかし―――そこに在るはずの物が、無い。
彼の答案には、名が書かれていなかった。
終限の鐘が鳴る。
蝶が、逃げた。
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