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015-十年の傷跡

「お前が亡くなった方の死に一切関係がないのに、なぜ彼女の葬儀を引き受け、わざと綻びを見せたんだ?」

松田壮磨の声には困惑と探りの色が混じっていた。

「なぜ最後に森太郎を告発したのか?」彼は問い続けた。

私は疲れ果てたように、低く力のない声で答えた。

「私が坂本美絵であろうと、近藤結であろうと、誰の目にも、彼の目にも、何の違いもなかったことに気づいたからです。」

「彼が私を深い奈落から連れ出したのは、より良い生活をさせるためだと思っていた。」私は苦笑いを浮かべた。

「どんなにしても、彼は私を認めて理解してくれると信じていた。」

「しかし次第に気づいたのです。彼の目には、私は大学に合格できなかった田舎の女の子、どれだけ頑張っても誰にも見向きもされない“無価値な存在”に過ぎなかった。」

「私が必死に演じてきた役割も、苦労して掴んだ大学も、彼の前ではただの紙くずだった。」

「私は今でも脅され、監禁される人形にすぎない。」

私は左の頬に手を当て、震える声で続けた。

「これが私が彼に逆らった代償です。過去十年、どれだけの傷を身に刻んできたかわかりません。」

「もうそんな生活は耐えられない。」

「私はむしろ闇の中に飛び込むほうを選ぶ。余生を怯えながら過ごすよりも。」

深く息を吸い込み、決意を込めて言った。

「それが私の選択です。」


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