011-闇の中で見つけた光
私は坂本美絵。
幼い頃からずっと日本の田舎町で育った。
幼稚園から高校まで、一度もこの貧しく閉ざされた小さな町を離れたことはなかった。
幼い日の一番賑やかな思い出は、六、七歳の時に父と一緒に町の市場に行ったことだ。
その時、通りには人が溢れ、商人たちの呼び声が響き渡っていた。
私は好奇心いっぱいに目を見開き、周囲を見渡しながら、ぼんやりとそれが本に書いてあった「活気に満ちた」景色だと理解した。
だが、それ以来、あんな賑わいを目にすることはなかった。
「知識は運命を変える」と本には書いてあった。私はそれを信じた。
必死で勉強した。
みんなが一度読むだけの文章を、私は五回も読んだ。
みんなが六時に自習に来るなら、私は二時間も早く来た。
みんなが間違えた問題を一度写すなら、私は十回写した。
家は貧しく、問題集を買うお金もなかった。
だから、いくつかの学校のゴミ捨て場を漁った。
学期末は特に嬉しい時期だった。
ゴミの山の中に積まれた問題集を見つけて、それを何ヶ月もかけて解いたのだから。
しかし、それでも私は大学に合格できなかった。
田舎の女の子がペン一本で貧困から抜け出す話は、結局私の身には起こらなかった。
受験の年、私は自分の出来に自信があった。
せめて二流大学には入れると思った。
だが、結果は二流大学の資格すら満たしていなかった。
負けたとは認められず、先生や校長、教育委員会に点数や合格結果の調査を頼んだ。
しかし、誰も取り合ってはくれなかった。
最終的に、両親が学校からの電話を受けて急いで迎えに来た。
私の背中の服は擦り切れ、肌は傷つき血がにじんでいた。
それでも気にしなかった。
小さな窓が一つだけの古い木造の家に隠れ、震えながら未来を考えた。
大学に落ちたという事実は変えられない。
目の前にある道は二つだけ。
働きに出るか、もう一年浪人するか。
翌日、私は一番素直な態度で両親に浪人を許してほしいと頼んだ。
諦めたくなかった。
ずっとクラスの上位十位に入っていたのに、なぜ落ちたのか。
もう一度挑戦したかった。
だが両親は拒んだ。
貧しいからではなく、三番目の弟が中学校に上がるからだと言われた。
こうして私は夜中に故郷を追い出され、「堀川」という男と共に東京へ向かった。
彼に連れられ、私は町を離れたことに感謝した。
彼と共に、これまで見たことのない華やかな景色を見た。
煌々と灯る街灯、華やかな服を纏った人々。
だが、私の夢見た都会の生活は、東京に着いたその夜で途絶えた。
堀川の太った体が私の上にのしかかり、古びた狭い旅館のベッドはきしんだ。
その時、私は捨てられることを恐れ、声も出せず、ただ黙って耐えるしかなかった。
やがて堀川は私をあの暗い小屋に監禁した。
厚いカーテンは光を遮り、一瞬たりとも闇が消えなかった。
最初は必死に抵抗していたが、次第に麻痺して無感覚になった。
彼に何度も踏みにじられ、日々を過ごした。
どれだけの時間が過ぎたのかも分からなかった。
そして彼は私をそこから連れ出し、「愛子」という女に引き渡した。
人生は絶望の中に時折、小さな希望をくれるものだ。
愛子は私に優しかった。
私の傷を見て堀川を責め、私のためにプライベートドクターを呼んだ。
毎日スープを煮て薬を飲ませ、軟膏を塗ってくれた。
あの時期は私の人生で一番温かい時間だった。
私は警戒心を解き、全ての心を愛子に預けた。
彼女を命の綱のように頼り、母のように親しく接した。
だが、忘れていた。
人が見知らぬ者にこんなにも優しくするはずがないことを……。