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そうせい

作者:京惠须神護
遺体化粧師として十数年の経験があるが、こんなにも美しい遺体を見たのは初めてだった。
間違いなく、美しいのだ。
それは、よくあるような作り物のような“整いすぎた”姿ではない。まるで熟睡しているかのような自然な表情だった。
服装は整い、肌は清潔で、顔には一切の歪みがない。死の苦しみにもがいた痕跡など、どこにも見当たらなかった。彼女は静かに横たわり、まるで病院の長椅子で疲れて眠り込んだだけのように見えた。
私はしゃがみ込み、しばらく彼女の顔を見つめていた。
この遺体にはほとんど手を加える必要がない。軽く化粧を施し、髪を少し整えれば、今日の仕事は終わるだろう。
しかし、手袋をはめて動き出そうとしたその瞬間、私はふと立ち止まった。
これまで何度も自殺遺体に接してきた。
首吊り、線路飛び込み、服薬――ほとんどの遺体の顔には、最後のもがきが刻まれている。
決意の瞬間であっても、体は痛みから本能的に逃れようとする。
眉間に深い皺を寄せ、目は白目を剥き、口元は痙攣し、顔は歪み、まるで人間とは思えぬ形相になることもあった。
だが、目の前のこの少女は――
顔に痛みの一片もなかった。
あまりに穏やかで、静かすぎて、まるで自ら死を選んだかのように思えてしまうほどだった。
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