1:出会いは偶然であり奇跡
「ここまでくれば大丈夫だろう」
私は今一人でゴブリン討伐のミッションを受けたことを後悔している。
「もう剣は折れるは、遭難するはもうさんだわ」
そう愚痴を垂れながら歩いていると薮から物音がした。私はその物音の正体を察した。折れた剣でも不意打ちならやれる、と覚悟を決めて折れた剣できりかかった。
「ちょちょ、待って待って」
私はその声が聞こえて剣が当たるギリギリで剣を止めた。
「そこにいるのは誰だ!」 と薮の中の声の主に聞いた。
そうすると薪を背負った私と同じぐらいの少年が薮からでてきた。
「向こうの鍛冶場の半人前の鍛治士だよ」
薮から出てきた少年は怯えた表情をしながらこちらを見ていた。
「近くに建物があるのか」
少年ははい、と困惑しながら正直に答えてくれた。
「先ほどはすまない、遭難してしまい色々焦ってしまっていて」
「そんな堅苦しく話さなくて大丈夫ですよ」
「癖でな、心がけるよ」
「とりあえず案内しますね」
少年に案内されている間色々なことを聞いた。
最近魔物の動きが活発になっていることなど、魔物関係の話を多く聞いた。
「着きましたよ」
その言葉を聞いて顔を上げるとザ・鍛冶場みたいな建物と小さい小屋が視界に入った。
「とりあえず、そこの小屋でゆっくりして大丈夫ですよ」
「それでは失礼して」
私は小屋の中にある長椅子に腰を掛け、折れた剣を眺めていた。この剣高かったのになー、と心の中で呟いていると、少年が話しかけてきた。
「剣折れてましたよね、よかったら新しいのこしらえてあげましょうか?」
「そんなそんな、私お金も無いですし」
「大丈夫ですよ、半人前の打つ剣なんで無料でいいですよ」
「いやいや、流石にそこまでしてもらうのは」
「僕の練習にもなるので大丈夫ですよ」
「そこまで言うならお言葉に甘えて」
「僕の打つ剣なんてその辺の鍛治士よりも良い剣じゃないんで」
「ありがとうございます、そういえば名前がまだでしたね、私の名前はリコ・ダライド、リコと呼んでくれ」
「リコさんね、短い付き合いになるだろうけどよろしくお願いします」
「私にもそんな堅苦しく話さなくて大丈夫ですよ」
「分かりました」
「あなたの名前は?」
「ナタカとでも呼んでください」
そう言って、ナタカは鍛冶場へ足を進めた。