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lv1

育成型成長モンスター通称【ガーディア】。

主君を守るゴーレムから着想を得て生まれたデフォルメされたモンスターのことである。

時には可愛がり、時には共闘する、新しい形のパートナーは瞬く間に世界的大ヒットを巻き起こした。

そんな偉業を成し遂げたのは、辺境の村に住む男ルーク。彼は現在…。


「なんじゃこりゃぁぁ!」

大きな声に反応し、外の害鳥(プランクバード)が一斉に木から飛び立つ。

俺は、鏡に映る己の姿を見て膝から崩れ落ちた。

「なんで、なんでガーディアになってんだ!」

50センチ程度の2頭身。緑と紫の肌には至る箇所に縫い目がある。それはまさしくデフォルメされたゾンビの姿そのものであり、自身が設計したガーディア、ミニゾンビのそれに違いなかった。

「おかしい…確か昨日は…」

原因を探るべく、昨日の記憶を掘り出す。

確か昨日は、久しぶりに会った旧友と酒を飲んで…。

向こうが冗談でガーディアと合体してみろとか言うから、ガーディアを作る機械に俺が…。

見る見る蘇った記憶は、己の阿呆ぶりと他ならぬ自身が元凶であることを思い出させてくれた。

部屋の端に見えるのは例の装置。二つの白い卵形のポッドが様々な機械で組み合わさっている。モンスター同士を融合させ、人間にとって無害にしたり、デフォルメするもの、要はガーディアを作る機械だ。恐らくそこに俺が入って、このミニゾンビの体となったのだろう。

恐る恐るポッドの一つを開けると、白目をむいてぐったりしている俺の姿があった。

心臓に耳を当てても鼓動は聞こえず、呼吸している様子もない。

悲しいかな、本体がお亡くなりになったようだ。

「まぁそりゃそうか、魂がこっちに移ってるんだもんな」

「おーい、良い加減起きろー」

聞き馴染みのある声。それは、彼の旧友リアのもの。

「やべっ」

彼女の声で自身の現状を思い出す。首輪や腕輪といったパートナーである証を持っていない野良のガーディアは、野生に帰ることでその凶暴性を取り戻し、人に害を与える可能性があるため、証がない場合は保護施設に収容される。そして、今の体にそんなものはついていない。

「保護施設行きだけは何とか阻止しないと…」

まだ保護施設はできたばかりで、出てくる食事や設備は中々ひどいものである。それに加え、長期間の拘束、誰かのパートナーになるなど到底我慢できるものではない。

「逃げよう」

判断を下すのに、そう時間はかからなかった。手早く荷物を済ませ、窓から身を投げ出す。

入れ替わるようにリアが部屋へ入った。

「おーい、ルー…ク…?」

空いているポッド、そこから見える倒れたルーク、開けっ放しの窓…。

「ルークが誰かに殺された!?」

背後で聞こえる叫び声。よく聞こえないが今はそれどころではない。


己の殺人事件が現在発生してることなど梅雨知らず、俺はせっせと森に逃げた。

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