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第17話


 「困惑するのも無理はないよ。一旦整理しようか」



 …整理?


 整理するって何を?



 教官はチョークを走らせた。


 その最初の文字は、「不死」。


 “アンデット”。


 不死の文字の上には、そう書いてあった。


 言葉の意味がわからないわけじゃない。


 思わず首を傾げてしまったのは、そういうことじゃなかった。


 教官が走らせたチョークの先には、普通じゃあり得ないようなことが書かれてあった。



 「心臓」が、——無い。



 軽やかなタッチで描き出されるその文字を追いながら、反芻した。


 心臓が、…無い。


 私の見間違いじゃなければ、確かにそう書いてある。


 心臓が「無い」って、…どういうこと?


 無いってつまり、——え?


 “存在しない”って意味だよね?



 …心臓が?

 


 いやいや、そんなまさか



 「手を当てて見てごらん?」


 「はい?」


 「彼の胸にだよ。それが一番手っ取り早い」



 教官に言われるがまま、渋々彼の胸に手を当ててみた。


 薄手のシャツの下には、厚い胸板が。


 見るからにスマートな体つきで、ウエストも細い。


 普段から鍛えてるんだろうなと思った。


 そうじゃなきゃ、こんな逞しい体つきにはならないだろうから。




 ピトッ



 ………




 半ば半信半疑だった。


 私はこう見えても、修道士の端くれだ。


 あらゆる種族の生物学的な構造や性質についてを勉強しているし、人間の身体についての研究や、病気の治療や予防に関する研究だってしてる。


 心臓は、特に脊椎動物のもつ筋肉質の臓器であり、律動的な収縮によって血液の循環を行うポンプの役目を担っている。


 環形動物・軟体動物・節足動物における似たような役割の構造でもあり、「人間」にとっては、生命維持活動を行う上で必要不可欠な器官の1つだ。


 心臓・動脈・静脈・毛細血管などをまとめて「血管系」といって、すべての動物が明確な血管系をもっているわけじゃなく、動物界11グループのうち、血管系をもつのは5グループだけだ。



 …と、話が逸れちゃったけど、要するに、「心臓がない」なんてあり得ないってこと。


 ゾンビだかアンデッドだか知らないけど、そんなバカな話があるわけないと思った。


 中央からやや左寄りの場所に指を当て、指先に感じる振動を捉えようとした。


 エルフやドラゴニアンと違って、心臓の位置はだいたいこの辺。


 たまに右側についてる人もいるけど、そんなのはごく稀なわけで…


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